【保存版】問い合わせ5社でも「来店は1社」の時代——選ばれる不動産会社になるオンライン導線設計の全技術

「問い合わせは来るのに、来店につながらない」——この悩みを抱える不動産賃貸仲介業者は決して少なくないだろう。

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年10月に発表した最新調査によると、賃貸契約者が問い合わせた不動産会社数は平均3.3社。これは2015年以降で最多の数字である。しかし、実際に訪問した不動産会社数は平均わずか2.0社。さらに衝撃的なのは、「1社のみ訪問」と回答した層が45.6%に達している事実だ。

つまり、消費者は複数社に問い合わせを行いながらも、実際に足を運ぶのは厳選した1〜2社に絞り込んでいる。この「問い合わせから来店への転換率」こそが、いま不動産賃貸仲介業者の成否を分ける最重要指標となっている。

本稿では、RSC調査データと業界の最新動向を読み解きながら、オンラインでの問い合わせを確実に来店へとつなげる「導線設計」の具体的手法を徹底解説する。


消費者行動の変化を数字で読み解く

検討期間の長期化と比較意識の高まり

現代の住まい探しにおいて、消費者の行動パターンは大きく変化している。

RSC調査によると、賃貸契約までに1ヶ月以上を要した層は全体の約4割に達し、前年から約6ポイント増加した。問い合わせた物件数も平均5.8物件と、2018年以降で最多を記録している。「6物件以上」を比較した層は37.6%にのぼり、約4割の消費者が6つ以上の物件を天秤にかけてから契約に至っている計算だ。

この数字が意味するのは、消費者が「情報収集」と「比較検討」にかつてないほど時間と労力を費やすようになったということである。単に物件情報を並べるだけでは、もはや選ばれる時代ではなくなっている。

なぜ「問い合わせ3社・来店1社」という現象が起きるのか

問い合わせ数と来店数のギャップが生まれる背景には、消費者の「オンライン完結志向」がある。

大手不動産ポータルサイトからある程度物件を絞って来店するケースがほとんどであるため、Web媒体への掲載内容や情報量が消費者の「来店先選定」を左右する時代になっている。消費者は問い合わせた複数社の対応を比較し、最も信頼できると感じた会社のみを訪問する傾向が顕著だ。

つまり、問い合わせ後の「初期対応の質」と「オンラインでの情報提供力」が、来店獲得の決定打となっている。


消費者が不動産会社を選ぶ5つの決め手

RSC調査では、不動産会社を選ぶポイントとして以下の項目が上位にランクインしている。これらの要素を自社のオンライン対応に組み込むことが、来店促進の第一歩となる。

1. 写真の点数が多い

「写真の点数が多い」は、不動産会社を選ぶポイント・特に重視するポイントの両方でトップに輝いた。いずれも直近3年で最高値を記録しており、消費者の「視覚情報への依存度」が年々高まっていることがわかる。

物件写真は最低でも20枚以上、できれば30枚以上を目安に掲載したい。特に以下のカットは必須だ。

  • 外観(昼間・夜間の両方があると理想的)
  • エントランス・共用部
  • 全居室の全景と窓からの眺望
  • キッチン(収納内部も含む)
  • 浴室・洗面所・トイレ
  • 収納スペース(クローゼット内部)
  • バルコニー・ベランダ
  • 周辺環境(最寄り駅、スーパー、コンビニなど)

2. 口コミ情報の重視

「不動産会社に対する口コミ情報」は、特に重視するポイントで2位にランクインした。前年との比較でも増加傾向にあり、消費者が「第三者の評価」を重視する姿勢が鮮明になっている。

Googleビジネスプロフィールの星評価と口コミ件数は、問い合わせ先を絞り込む際の重要な判断材料となっている。成約後のお客様にレビュー投稿を依頼する仕組みを構築し、口コミ数と評価の向上を図りたい。

3. 問い合わせに対する迅速な対応

RSC調査によると、不動産会社の対応で「満足だったこと」の1位は「問い合わせに対するレスポンスが早かった」(71.5%)だった。一方、「不満だったこと」には「問い合わせをしたら返答が遅かった」「問い合わせへの回答が的を射ていなかった」が上位に挙げられている。

問い合わせから最初の返信までの時間は、30分以内を目標にしたい。特に夜間や休日の問い合わせに対しては、自動返信システムで「確認次第ご連絡します」というメッセージを即座に送ることで、顧客の不安を軽減できる。

4. 正確な物件情報の提供

「正確な物件情報の提供」は、不動産会社に求めるもの・特に重要なものともに上位にランクイン。特に注目すべきは、不満だったことの上位に「問い合わせをしたら、『その物件はもうない』と言われた」が入っている点だ。

いわゆる「おとり物件」や情報更新の遅れは、顧客の信頼を一瞬で失う致命的なミスとなる。物件の空室状況は最低でも1日1回、理想的には半日ごとに更新する体制を整えたい。

5. 物件に対する詳しい説明

消費者は物件スペックだけでなく、「住んだらどうなるか」というストーリーを求めている。間取り図や設備一覧だけでなく、以下のような付加情報を積極的に提供することで差別化を図れる。

  • 日当たり・風通しの実際の様子
  • 周辺の騒音レベル
  • スーパーやコンビニまでの実測徒歩時間
  • 近隣住民の雰囲気や世帯構成
  • 過去入居者からのフィードバック(匿名で可)

問い合わせから来店へつなげる7つの実践テクニック

テクニック1:ファーストコンタクトの「30分ルール」を徹底する

問い合わせ後30分以内の初回返信は、来店率を大きく左右する。RSC調査で「レスポンスの早さ」が満足度トップに挙げられていることからも、この重要性は明らかだ。

具体的な実践方法として、以下のような体制構築を推奨する。

  • 営業時間内:担当者が15分以内に電話またはメールで返信
  • 営業時間外:自動返信で「翌営業日9時までにご連絡します」と明記
  • 休日:当番制を敷き、最低でも1時間以内の返信を実現

テクニック2:返信内容に「来店メリット」を明確に盛り込む

問い合わせへの返信は、単なる物件情報の提供ではなく「来店することで得られる価値」を伝える場として活用したい。

効果的な返信テンプレートの例:

○○様

お問い合わせいただきありがとうございます。
ご希望の△△物件について、空室を確認いたしました。

【物件の魅力ポイント】
・南向きバルコニーで日当たり良好
・最寄りスーパーまで徒歩2分
・2025年にリノベーション済み

ご来店いただければ、この物件に加えて
○○駅周辺の未公開物件3件もご紹介可能です。

また、周辺の治安情報や実際の通勤シミュレーションなど、
ネットでは得られない情報もお伝えできます。

ご来店のご予約はいかがでしょうか?
直近で空いている日時は以下の通りです。
・12月28日(土)10:00〜 / 14:00〜
・12月29日(日)11:00〜 / 15:00〜

テクニック3:オンライン内見を「来店への架け橋」として活用する

RSC調査によると、オンライン内見・対面内見の併用率は増加傾向にある。オンライン内見は来店の代替ではなく、「来店前の事前選定ツール」として位置づけることで、来店時の成約率向上につなげられる。

オンライン内見を活用した来店促進フロー:

  1. 問い合わせ物件のオンライン内見を実施
  2. 内見中に「実際に見たほうがわかる点」を意図的に伝える
  3. 「この物件と比較できる物件が店舗にあります」と案内
  4. オンライン内見の最後に来店予約を取る

テクニック4:LINE公式アカウントで継続的な接点を持つ

電話やメールに抵抗感を持つ層は一定数存在する。特に若年層では、LINEでのやり取りを好む傾向が強い。LINE公式アカウントを活用することで、問い合わせのハードルを下げつつ、継続的なコミュニケーションが可能になる。

LINE活用のポイント:

  • 問い合わせフォームにLINE友だち追加ボタンを設置
  • 登録直後に「物件探し診断」などのコンテンツを配信
  • 週1回程度、新着物件や周辺情報を配信
  • 来店予約機能をLINE上で完結できるようにする

テクニック5:「来店特典」で行動を促す

来店を決断する最後の一押しとして、来店特典は依然として有効だ。ただし、金銭的なインセンティブよりも「情報価値」を訴求したほうが、質の高い見込み客を集めやすい。

効果的な来店特典例:

  • 「○○エリア家賃相場マップ」(来店者限定配布)
  • 「引越し費用節約チェックリスト」
  • 「入居審査通過率を上げる5つのポイント資料」
  • 提携引越し業者の割引クーポン

テクニック6:来店予約システムで「今すぐ予約」を可能にする

問い合わせから来店予約までのステップが多いほど、離脱率は上昇する。Web上で即座に来店予約が完了するシステムを導入し、問い合わせから来店までの導線を最短化したい。

予約システム導入時のチェックポイント:

  • カレンダー形式で空き枠が一目でわかる
  • スマートフォンからでも予約しやすいUI
  • 予約確定後の自動リマインド機能
  • 予約変更・キャンセルが簡単にできる

テクニック7:来店前の事前ヒアリングで「待ち時間ゼロ」を実現する

来店予約後に簡単なヒアリングフォームを送付し、希望条件を事前に把握しておくことで、来店時にすぐ物件提案に入れる体制を整えたい。「待たされる時間がなかった」という体験は、顧客満足度と成約率の両方を押し上げる。

事前ヒアリング項目例:

  • 希望エリア・最寄り駅
  • 予算(家賃上限・初期費用)
  • 間取り・広さ
  • 絶対に外せない条件(バストイレ別、2階以上など)
  • 入居希望時期
  • 現在の住居形態(実家、一人暮らし、同棲など)

オンライン導線設計のPDCAサイクル

KPI設定と効果測定

オンラインからの来店促進を継続的に改善するためには、適切なKPIの設定と定期的な効果測定が不可欠だ。

主要KPIの例:

指標目標値の目安測定頻度
問い合わせ→初回返信時間30分以内週次
問い合わせ→来店予約率30%以上週次
来店予約→実来店率80%以上週次
実来店→成約率40%以上月次
口コミ評価平均4.0以上月次

改善サイクルの回し方

  1. データ収集:問い合わせ経路、返信時間、来店理由をすべて記録
  2. 分析:来店に至った顧客と離脱した顧客の違いを比較
  3. 仮説立案:「返信が1時間を超えると来店率が半減する」など
  4. 施策実行:返信時間の短縮、内容の改善などを実施
  5. 効果検証:施策前後のKPIを比較し、効果を数値で確認

フランチャイズ加盟という選択肢

ここまで述べてきたオンライン導線設計を自社単独で構築・運用するには、相応のリソースとノウハウが必要だ。特に中小規模の不動産会社にとって、システム投資や人材確保は大きな負担となる。

こうした課題を解決する手段の一つが、フランチャイズへの加盟である。

たとえばハウスコムフランチャイズでは、大手不動産テック企業の基幹システムを採用した業務支援が提供され、コンバータ・顧客管理・契約管理の3点セットがロイヤリティに含まれている。さらに、本部からの反響送客支援や、定期的な加盟店会合によるノウハウ共有など、単独では実現困難な施策を活用できる環境が整っている。

全国203店舗(2025年3月末時点)を展開するブランド力を活かせる点も、集客面での大きなアドバンテージとなる。特に関東・東海・近畿の三大都市圏では、ハウスコムの知名度が顧客の信頼獲得に直結するケースも少なくない。


まとめ:「選ばれる会社」になるために今日からできること

消費者の比較検討意識が高まり、問い合わせ数と来店数のギャップが拡大する現在、オンラインでの導線設計は不動産賃貸仲介業者にとって最重要課題の一つとなっている。

本稿で紹介した7つの実践テクニックを改めて整理する。

  1. 30分以内の初回返信で競合に差をつける
  2. 来店メリットを明確に伝える返信内容を設計する
  3. オンライン内見を来店への架け橋として活用する
  4. LINE公式アカウントで継続的な接点を持つ
  5. 来店特典で最後の一押しをする
  6. 来店予約システムで導線を最短化する
  7. 事前ヒアリングで来店時の顧客体験を向上させる

これらの施策を一つずつ実行に移し、PDCAサイクルを回しながら改善を続けることが、「問い合わせ3社・来店1社」時代を勝ち抜く鍵となる。

明日からの営業活動に、ぜひ本稿の内容を活かしていただきたい。


本記事で引用したデータは、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年10月に発表した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果に基づいています。