悪い口コミを「成約のチャンス」に変える——不動産会社が今すぐ実践すべき返信術と評判管理の全技法

「その物件はもうない」「対応が遅い」「説明が不十分」——。Googleマップやポータルサイトに寄せられるネガティブな口コミは、不動産賃貸仲介会社にとって避けられない現実である。しかし、この「避けたい現実」こそが、他社との差別化を図り、新規顧客を獲得する絶好の機会になることをご存じだろうか。

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に発表した調査によると、「不動産会社に対する口コミ情報」は、物件を契約したユーザーが不動産会社を選ぶ際に「特に重視するポイント」として2位にランクインしている。つまり、口コミへの対応次第で、貴社の集客力は大きく変わるのだ。

本記事では、ネガティブレビューを逆手に取り、信頼獲得と成約率向上につなげる具体的な返信テクニックを徹底解説する。


なぜ今、不動産会社の口コミ対策が「必須」なのか

顧客の比較行動が過去最多を記録

同調査によれば、2025年の賃貸契約者が問い合わせた不動産会社数は平均3.3社で、2015年以降で最多となった。「5社以上」に問い合わせた割合も21.0%に達しており、顧客はかつてないほど複数社を比較検討している。

この「比較される時代」において、口コミは無視できない判断材料となっている。「写真の点数が多い」が不動産会社選びのポイントでトップに立つ一方、「不動産会社に対する口コミ情報」が特に重視される項目の2位に浮上している点は注目に値する。

71.5%の満足度を左右する「対応品質」

調査では、不動産会社の対応で満足だったこととして「問い合わせに対するレスポンスが早かった」が71.5%でトップとなった。一方、不満だったこととして「問い合わせをしたら『その物件はもうない』と言われた」「言葉遣いや対応が気に障った」「問い合わせへの回答が的を射ていなかった」が上位に並んでいる。

これらの不満は、そのまま口コミに反映される可能性が高い。逆に言えば、日々の対応品質を高めることこそが、良い口コミを生み出す最も確実な方法なのである。


ネガティブ口コミへの返信で絶対に押さえるべき5つの原則

悪い口コミへの返信は、単なるクレーム対応ではない。その返信を見ている「未来の顧客」への接客でもあるのだ。以下の5原則を押さえることで、ネガティブレビューを信頼構築の場に変えることができる。

原則1:24時間以内のスピード返信を徹底する

口コミへの返信スピードは、貴社の顧客対応力を如実に示す。RSC調査で「レスポンスの早さ」が満足度トップであることからも明らかなように、迅速な対応は顧客満足の基本である。

悪い口コミを放置すればするほど、他の閲覧者には「この会社は顧客の声を無視している」という印象を与えてしまう。遅くとも24時間以内、可能であれば数時間以内に返信するルールを社内で徹底したい。

原則2:まず謝罪と感謝から入る

批判的な内容であっても、顧客がわざわざ時間を使って意見を寄せてくれたことに変わりはない。返信の冒頭では、不快な思いをさせたことへのお詫びと、ご意見をいただいたことへの感謝を述べるべきである。

ただし、過剰な謝罪は逆効果になることもある。事実確認が必要な場合は「ご不快な思いをされたとのこと、申し訳ございません」程度に留め、全面的な非を認めるような表現は避けたい。

原則3:具体的な改善策を明示する

「今後気をつけます」「ご指摘を真摯に受け止めます」といった抽象的な返信は、かえって不誠実な印象を与えかねない。可能な限り、具体的な改善策や再発防止策を明示することで、貴社の問題解決能力を示すことができる。

例えば「物件情報の更新頻度を1日2回から3回に増やしました」「接客マニュアルを見直し、全スタッフへの研修を実施いたしました」といった具体的な施策を示すことで、口コミ閲覧者に「この会社は本気で改善に取り組んでいる」という印象を与えられる。

原則4:個別対応への橋渡しを行う

公開の場での議論には限界がある。込み入った事情がある場合や、詳細を確認したい場合は、電話やメールでの個別対応を申し出るべきだ。

「詳しいお話をお聞かせいただきたく、よろしければ当店(電話番号)までご連絡いただけますでしょうか」といった形で、誠意ある対応姿勢を示しつつ、公開の場での論争を避けることができる。

原則5:感情的にならず、プロとしての品位を保つ

たとえ事実と異なる内容や、理不尽に思える批判であっても、感情的な反論は厳禁である。返信は常に第三者に見られていることを意識し、冷静かつ丁寧な言葉遣いを心がけたい。

「ご指摘の件について確認いたしましたところ、当時の状況は〇〇でございました」といった形で、事実を淡々と述べることで、感情的な応酬を避けながらも、貴社の見解を伝えることができる。


【返信テンプレート集】よくあるネガティブ口コミへの対応例

パターン1:「問い合わせた物件がなかった」という口コミへの返信例

このたびは弊社にお問い合わせいただいたにもかかわらず、ご希望の物件をご紹介できず、誠に申し訳ございませんでした。

賃貸物件は流動性が高く、特に人気物件は掲載から数日で成約となることもございます。弊社では物件情報の更新を1日複数回実施しておりますが、タイミングによってはこのようなことが生じてしまいます。

なお、お問い合わせいただいた際には、同条件の代替物件をご提案させていただくよう努めておりますが、今回はご期待に添えず重ねてお詫び申し上げます。今後とも、迅速かつ正確な情報提供に努めてまいります。

パターン2:「対応が遅かった」という口コミへの返信例

このたびはお問い合わせへの対応が遅れ、ご迷惑をおかけいたしました。お時間を頂戴し、誠に申し訳ございませんでした。

ご指摘を受け、社内で対応フローを見直し、より迅速にご連絡できる体制を整備いたしました。今後はこのようなことがないよう、全スタッフで改善に取り組んでまいります。

貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

パターン3:「説明が不十分だった」という口コミへの返信例

このたびは、ご契約に関する説明が不十分であったとのこと、深くお詫び申し上げます。

初期費用や契約条件については、お客様にご納得いただけるまで丁寧にご説明すべきところ、配慮が行き届かず申し訳ございませんでした。

本件を受け、重要事項説明のチェックリストを見直し、お客様からのご質問を積極的にお受けする時間を設けるよう改善いたしました。今後とも安心してお部屋探しをしていただけるよう努めてまいります。

パターン4:「スタッフの態度が悪かった」という口コミへの返信例

このたびは、スタッフの対応により不快な思いをおかけしたとのこと、誠に申し訳ございませんでした。

お客様に気持ちよくお部屋探しをしていただくことが、私どもの使命です。今回のご指摘を重く受け止め、該当スタッフへの指導を行うとともに、全スタッフを対象とした接客研修を実施いたしました。

今後このようなことがないよう、サービス品質の向上に全社一丸となって取り組んでまいります。


悪い口コミを「予防」する日常の取り組み

返信テクニックを磨くことは重要だが、そもそも悪い口コミが投稿されにくい環境を作ることが最も効果的な口コミ対策である。

物件情報の鮮度管理を徹底する

「その物件はもうない」という不満は、調査結果でも上位にランクインしている。物件情報の更新頻度を高め、成約済み物件をタイムリーに非公開にする仕組みを構築することが求められる。

大手不動産ポータルサイトへの掲載物件については、コンバータシステムなどを活用し、自社システムとの連携を強化することで、情報の齟齬を防ぐことができる。

問い合わせ対応のルールを明確化する

「対応が遅い」「回答が的を射ていない」といった不満を防ぐためには、問い合わせ対応の社内ルールを明確にする必要がある。問い合わせから初回連絡までの目標時間、ヒアリング項目、提案物件の選定基準などを標準化し、スタッフによる対応品質のばらつきをなくすことが重要だ。

接客後のフォローを忘れない

内見後や成約後のフォロー連絡は、顧客満足度を高めるだけでなく、ポジティブな口コミを投稿してもらうきっかけにもなる。「その後、新生活はいかがでしょうか」といった一言を添えたフォローメールを送ることで、顧客との良好な関係を維持できる。


良い口コミを増やす「攻めの評判管理」

ネガティブ口コミへの対応と同時に、ポジティブな口コミを増やす取り組みも重要である。

満足した顧客に口コミ投稿を依頼する

成約後のアンケートで高評価をいただいた顧客には、口コミ投稿のお願いをすることが効果的だ。「もしよろしければ、今後お部屋探しをされる方のご参考になりますので、Googleマップにご感想をお寄せいただけますと幸いです」といった形で、自然な流れで依頼するとよい。

ただし、特典と引き換えに口コミを依頼する行為は、プラットフォームの規約に抵触する可能性があるため注意が必要だ。

社内で口コミ共有の文化を作る

良い口コミが投稿されたら、朝礼やチャットツールで全スタッフに共有する。「誰々さんの対応が褒められた」という具体的な事例を共有することで、スタッフのモチベーション向上と好事例の横展開につながる。

SNSでの情報発信を強化する

調査によれば、住まい探しに「SNS(YouTube、Instagramなど)」を利用する割合は、賃貸で24.1%、売買で30.4%に達している。口コミだけでなく、自社のSNSアカウントで物件情報やスタッフの人柄が伝わるコンテンツを発信することで、ブランドイメージの向上と信頼獲得につなげることができる。


まとめ:口コミ対策は「企業価値を高める投資」

口コミ対策は、単なるクレーム処理ではなく、貴社の評判と信頼を高めるための戦略的な取り組みである。

顧客が平均3.3社を比較検討する現代において、口コミの良し悪しは集客力に直結する。ネガティブな口コミを真摯に受け止め、誠実に返信し、具体的な改善につなげることで、「この会社なら信頼できる」という印象を与えることができる。

日々の対応品質を高め、口コミ対策を組織的に推進することが、選ばれる不動産会社への第一歩となるだろう。


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口コミ対策をはじめとした店舗運営の課題に、一社で取り組むには限界がある。ハウスコムフランチャイズでは、25年以上にわたり賃貸仲介業をコア事業として築き上げてきたノウハウを加盟店に提供している。

業務システムの提供から接客品質向上のためのセミナー開催、本部スタッフによる定期巡回サポートまで、加盟店の課題解決を多角的に支援。「中規模・小規模の不動産仲介会社が、単体では成し得なかったサービス・ブランドを、共存共栄の精神で実現する」という理念のもと、加盟店の成長と拡大をバックアップしている。

口コミ対策に課題を感じている経営者の方は、ぜひ一度、ハウスコムフランチャイズの資料をご請求いただきたい。


※本記事で引用したデータは、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果(2025年10月27日発表)に基づいています。