【夜間・休日も取りこぼさない】営業時間外の問い合わせに対応する仕組み|自動返信と翌朝フォローで成約率を劇的に変える実践ガイド

「夜22時に届いた問い合わせ、翌朝9時に返信したらもう他社で決まっていた」──そんな苦い経験を持つ不動産賃貸仲介業者は少なくないだろう。物件探しをする顧客の多くは、仕事を終えた夜間や週末に大手不動産ポータルサイトで物件を検索し、気になる物件を見つけたその瞬間に問い合わせを送る。しかし、その「今すぐ決めたい」という熱量は、時間が経つほど急速に冷めていく。

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に発表した最新調査によると、物件を契約した人の**71.5%**が「問い合わせに対するレスポンスが早かった」ことを満足点として挙げている。これは調査項目の中で断トツの1位だ。一方で、「問い合わせをしたら返答が遅かった」という不満を感じた顧客も一定数存在する。

つまり、レスポンスの速さこそが成約への最短距離であり、営業時間外の問い合わせにいかに対応するかが、賃貸仲介業者の生命線となっている。本稿では、24時間対応を実現する自動返信システムの設計から、翌朝のフォロー体制まで、すぐに実践できるノウハウを徹底解説する。


Table of Contents

なぜ「営業時間外対応」が成約率を左右するのか

顧客の行動パターンが変わった

かつて、物件探しは不動産会社の店舗に直接足を運ぶことから始まっていた。しかし、スマートフォンの普及により、顧客の行動パターンは一変した。

現代の顧客は、仕事を終えて帰宅した夜間や、予定のない休日に物件を検索する。大手不動産ポータルサイトのアクセスログを見ても、平日の20時~23時、土日の午前中にアクセスが集中している傾向が見られる。これらの時間帯は、多くの不動産会社にとって「営業時間外」である。

顧客が「この物件いいな」と思い、問い合わせフォームに必要事項を入力し、送信ボタンを押す──その瞬間、顧客の購買意欲は最高潮に達している。しかし、返信が翌日まで届かなければ、その熱量は確実に冷めていく。さらに悪いことに、顧客は同時に複数の会社に問い合わせていることが多い。先に返信した会社が選ばれる確率は、圧倒的に高い。

データが示す「レスポンス速度」と「顧客満足度」の関係

RSCの2025年調査では、不動産会社に求めるものとして「親切・丁寧な対応」がトップに挙げられ、次いで「正確な物件情報の提供」「問合せに対する迅速な対応」と続く。顧客が重視するのは、物件の魅力だけではない。対応の速さと質が、成約を左右する重要な要素となっている。

さらに注目すべきは、「こちらの都合を優先してくれた」という項目が満足点の2位(51.4%)にランクインしている点だ。顧客は自分の都合に合わせてくれる不動産会社を高く評価する。営業時間外であっても、何らかの形で「あなたの問い合わせを受け取りました」というメッセージを届けることが、顧客満足度の向上につながる。

「最初の60分」が勝負を決める

不動産業界には「最初の60分が勝負」という格言がある。問い合わせから1時間以内に返信できるかどうかが、成約率を大きく左右するという経験則だ。

なぜ60分なのか。それは顧客の心理と行動パターンに深く関係している。物件を探している顧客は、まさに今、この瞬間に「決めたい」と思っている。特に賃貸の場合、転勤や進学など期限が迫っているケースも多い。問い合わせをした直後は、その物件への関心が最も高まっている状態だ。しかし、返信が遅れれば遅れるほど、その熱は冷めていく。

LINEなどのSNSでは、10分以内に返信がないと「返事が遅い」と感じる人が4%いるというデータもある。スマートフォン時代の顧客は、即時レスポンスに慣れている。その期待に応えられるかどうかが、選ばれる不動産会社になるための分水嶺となる。


自動返信システムの設計──「受け取りました」を届ける技術

第一報は「完璧な回答」でなくていい

営業時間外に届いた問い合わせに対して、翌朝まで完全に沈黙するのは最悪の対応だ。しかし、夜間に完璧な物件提案をする必要もない。

最も重要なのは、**「あなたの問い合わせを確かに受け取りました」**という第一報を届けることだ。この一報があるだけで、顧客の不安は大きく軽減される。

効果的な自動返信メッセージの例:

お問い合わせいただき、誠にありがとうございます。 ご希望の物件について、担当者が確認の上、明日9時以降に改めてご連絡いたします。 お急ぎの場合は、翌営業日の午前中にお電話(03-XXXX-XXXX)にてご連絡ください。 ご不便をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

このメッセージのポイントは3つある。

  1. 受領確認:問い合わせを受け取ったことを明確に伝える
  2. 次のアクション予告:いつ、どのような形で連絡するかを具体的に示す
  3. 代替手段の提示:急ぎの場合の連絡先を案内する

「明日9時以降に連絡します」という具体的な時間を示すことで、顧客は安心して待つことができる。逆に「後日連絡します」のような曖昧な表現は、かえって不安を煽る。

メール・LINE・チャットボット──チャネル別の自動返信設計

現代の不動産会社は、複数のコミュニケーションチャネルを運用している。それぞれの特性に応じた自動返信設計が求められる。

【メールの自動返信】 問い合わせフォームからの送信に対しては、自動返信メールの設定が基本だ。多くのCRMシステムやメールサービスには、この機能が標準装備されている。設定していない場合は、今すぐ設定することを強く推奨する。

自動返信メールには、以下の要素を盛り込む:

  • 問い合わせ内容の確認(物件名、お客様名など)
  • 返信予定時刻
  • 緊急連絡先
  • 会社の営業時間

【LINEの自動返信】 LINE公式アカウントには「応答メッセージ」機能があり、営業時間外に自動でメッセージを送信できる。さらに、キーワードに応じて異なるメッセージを返す「キーワード応答」機能も活用可能だ。

たとえば、「内見」というキーワードに対しては内見予約フォームへのリンクを、「初期費用」というキーワードに対しては一般的な初期費用の目安を返すように設定できる。

近年では、AIを活用したチャットボットの導入も進んでいる。LINE公式アカウントの「AIチャットボット」機能を使えば、顧客からの質問に対してAIが最適な回答を自動返信することも可能だ。

【チャットボットの活用】 チャットボットを導入すれば、365日24時間体制で顧客対応が可能になる。よくある質問への回答や、物件情報の案内、内見予約の受付などを自動化できる。

チャットボットの導入効果として、以下が挙げられる:

  • 営業時間外の対応が可能になり、機会損失を防げる
  • オペレーターの業務負担が軽減される
  • 迅速な対応により顧客満足度が向上する
  • 問い合わせデータの蓄積・分析が容易になる

ただし、チャットボットはあくまで「自動化」であり、複雑な相談や感情的なやり取りには限界がある。自動対応と有人対応のハイブリッド運用が、現実的な解決策となる。

自動返信で絶対に外してはいけない3つのポイント

自動返信は便利だが、設計を誤ると逆効果になりかねない。以下の3点は必ず押さえておきたい。

1. 機械的すぎない文面 「お問い合わせを受け付けました。順次対応いたします。」のような無機質なメッセージは、顧客に冷たい印象を与える。「ありがとうございます」「お待たせして申し訳ありません」といった感謝と配慮の言葉を入れることで、温かみのある対応を演出できる。

2. 具体的な返信時刻の明示 「後日連絡します」ではなく、「翌営業日の午前中までに」「9時~10時の間に」など、可能な限り具体的な時刻を示す。顧客は「いつ連絡が来るかわからない」状態が最もストレスを感じる。

3. 期待値の適切な設定 自動返信で「すぐに物件をご案内します」と書いておきながら、実際の返信が翌日午後になれば、顧客は裏切られたと感じる。約束した時刻には必ず連絡できるよう、余裕を持った時刻設定が重要だ。


翌朝フォローの設計──「最初の1時間」を制する者が勝つ

営業開始と同時にダッシュする仕組み

自動返信で「明日9時以降に連絡します」と約束したなら、9時になった瞬間に連絡しなければならない。これを確実に実行するには、「仕組み化」が不可欠だ。

【前日夜の問い合わせリスト作成】 営業終了時(または翌朝の営業開始前)に、前日夜間に届いた問い合わせをリスト化する。このリストを翌朝の「優先対応案件」として、担当者に割り振る。

多くのCRMシステムでは、問い合わせ日時でフィルタリングし、営業時間外に届いた案件を自動抽出できる。この機能を活用すれば、リスト作成の手間を大幅に削減できる。

【朝一番の15分ルール】 営業開始後の最初の15分間は、「夜間問い合わせ対応」の時間と決める。メールチェックや社内ミーティングよりも、顧客対応を優先するのだ。

この15分間で、以下のアクションを完了させる:

  • 問い合わせ内容の確認
  • 物件の空室状況確認
  • 第一報の連絡(電話またはメール)

完璧な提案をする必要はない。まずは「お問い合わせありがとうございます。物件の詳細を確認し、本日中にご提案いたします」という一報を入れることが重要だ。

電話か、メールか──最適な連絡手段の選び方

翌朝のフォローで悩むのが、連絡手段の選択だ。電話がいいのか、メールがいいのか、それともLINEか。

結論から言えば、顧客が問い合わせに使ったチャネルで返信するのが基本だ。メールで問い合わせてきた顧客にはメールで、LINEで問い合わせてきた顧客にはLINEで返信する。顧客が選んだ連絡手段を尊重することで、ストレスなくコミュニケーションを取ることができる。

ただし、急ぎの案件や人気物件の場合は、電話を併用することを推奨する。メールは読まれるまでにタイムラグがあるが、電話なら確実にリアルタイムで情報を伝えられる。「メールも送りましたが、念のためお電話しました」という一言を添えれば、しつこいという印象を与えずに済む。

返信内容のテンプレート化──質とスピードの両立

翌朝の貴重な時間を有効活用するには、返信内容のテンプレート化が欠かせない。ゼロから文章を考えていては、時間がいくらあっても足りない。

以下は、翌朝フォローメールのテンプレート例だ:


件名:【○○不動産】お問い合わせいただいた「△△マンション」について

○○様

おはようございます。 ○○不動産の□□と申します。

昨夜、「△△マンション 102号室」についてお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。

さっそく確認いたしましたところ、現時点で本物件はご案内可能でございます。 (※「申込中」「成約済み」の場合は代替物件を提案)

つきましては、詳細なご条件やご希望日程をお伺いできればと存じます。 本日、お電話でご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?

ご都合のよいお時間帯がございましたら、ご返信いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。


テンプレートを用意しておけば、物件名や顧客名を差し替えるだけで、素早く質の高い返信を送ることができる。CRMシステムに登録しておけば、さらに効率化が図れる。


仕組み化を支えるシステムとツール

問い合わせ管理システムの導入

営業時間外の問い合わせを確実に追跡し、対応漏れを防ぐには、**問い合わせ管理システム(CRM)**の導入が不可欠だ。

CRMシステムを導入することで、以下のメリットが得られる:

  • 一元管理:メール、電話、LINE、ポータルサイトなど、複数チャネルからの問い合わせを一つの画面で管理できる
  • 対応状況の可視化:「未対応」「対応中」「完了」などのステータスを設定し、対応漏れを防げる
  • 担当者の割り振り:問い合わせを自動的に担当者に振り分けられる
  • 分析・改善:対応時間や成約率などのデータを蓄積し、業務改善に活かせる

大手不動産テック企業が提供する基幹システムを採用すれば、コンバータ・顧客管理・契約管理を一体的に運用できる。初期費用や月額費用はかかるが、業務効率化による生産性向上を考えれば、十分に投資対効果が見込める。

通知システムの活用──スマホで「即座に」把握する

営業時間外に届いた問い合わせを、翌朝すぐに対応するためには、「気づく」仕組みも重要だ。

【ビジネスチャットツールとの連携】 SlackやChatworkなどのビジネスチャットツールを活用すれば、問い合わせが入った瞬間に専用チャンネルへ通知を飛ばせる。担当者はスマートフォンで通知を受け取り、外出先でも問い合わせ状況を把握できる。

ZapierやIFTTTなどの自動化ツールを使えば、「問い合わせフォームに入力があったら、自動的にCRMに登録してSlackに通知を送る」といった複雑な連携も簡単に実現できる。

【スマートフォンへのプッシュ通知】 CRMシステムのスマホアプリを導入すれば、問い合わせが入った瞬間にプッシュ通知を受け取れる。深夜に通知を受け取る必要はないが、翌朝の出勤時にはすでに状況を把握できているため、営業開始と同時にアクションを起こせる。

物件情報の鮮度維持──「もうない」と言わせない

RSCの調査で、不動産会社の対応で不満だったことの1位は「問い合わせをしたら、『その物件はもうない』と言われた」だった。これは営業時間外対応とも密接に関係している。

夜間に問い合わせを受け、翌朝に「すでに成約済みです」と回答すれば、顧客の失望は大きい。このような事態を防ぐには、物件情報の鮮度を常に維持することが重要だ。

具体的には、以下の施策が効果的:

  • 日次2回以上の情報更新:朝礼時と夕礼時に物件状況を確認し、成約・申込中・取り下げなどの状態変化を即座に反映する
  • 成約時の即時入力ルール:成約や申込が入った時点で、担当者が即座にシステムに入力するルールを徹底する
  • ポータルサイトとの連動:自社システムと大手不動産ポータルサイトの掲載情報を連動させ、手作業での更新ミスを防ぐ

物件情報の鮮度維持は、「守り」のように見えて、実は「攻め」の施策でもある。正確な情報を持っていれば、顧客に自信を持って提案できる。それが信頼につながり、成約率の向上をもたらす。


小規模店舗でもできる!今日から始める改善ステップ

ステップ1:現状の把握(所要時間:30分)

まずは、自社の現状を把握することから始めよう。以下の質問に答えてみてほしい。

  • 営業時間外に届く問い合わせは、1週間で何件あるか?
  • それらの問い合わせに、最初の返信をするまで何時間かかっているか?
  • 自動返信メールは設定しているか?
  • 翌朝、問い合わせ対応を優先する体制は整っているか?

これらの質問に即答できなければ、まずは1週間のデータを取ることから始める。「計測できないものは改善できない」という原則を忘れないでほしい。

ステップ2:自動返信の設定(所要時間:1時間)

自社のメールシステムや問い合わせフォームに、自動返信機能を設定する。多くのシステムでは、管理画面から簡単に設定できる。

自動返信メッセージには、以下の要素を盛り込む:

  • 問い合わせへの感謝
  • 受領確認
  • 返信予定時刻(翌営業日の午前中など)
  • 緊急連絡先

設定が完了したら、自分自身に問い合わせを送ってみて、自動返信が正しく届くか確認する。

ステップ3:翌朝ルールの設定(所要時間:15分)

チーム内で、翌朝の対応ルールを決める。たとえば:

  • 営業開始後15分間は、夜間問い合わせ対応に専念する
  • 問い合わせから24時間以内に必ず第一報を入れる
  • 対応完了まで、問い合わせを「未対応」ステータスのまま放置しない

ルールを決めたら、全員に周知する。紙に書いて壁に貼っておくのも効果的だ。

ステップ4:定期的な振り返り(毎週15分)

毎週1回、問い合わせ対応の状況を振り返る時間を設ける。以下の指標をチェックする:

  • 平均初回返信時間
  • 営業時間外問い合わせの件数
  • 対応漏れの有無
  • 成約率の変化

改善点があれば、翌週に反映する。このPDCAサイクルを回し続けることで、着実に対応品質が向上していく。


フランチャイズ本部の支援を活用する

システム導入のハードルを下げる

営業時間外対応の仕組み化には、CRMシステムやチャットツールの導入が欠かせない。しかし、小規模な不動産会社にとって、システム導入のハードルは決して低くない。

【よくある悩み】

  • どのシステムを選べばいいかわからない
  • 導入費用や月額費用が負担になる
  • 導入後の運用サポートが不安
  • 既存の業務フローとの統合が難しい

これらの課題を解決する方法の一つが、フランチャイズへの加盟だ。

ハウスコムフランチャイズでは、大手不動産テック企業の基幹システムを採用し、コンバータ・顧客管理・契約管理の3点セットを加盟店に提供している。利用料金はロイヤリティに含まれるため、個別にシステム契約を結ぶ必要がない。これにより、システム導入のハードルが大幅に下がる。

ノウハウの共有と定期的なサポート

システムを導入しても、それを使いこなせなければ意味がない。フランチャイズ本部では、加盟店への定期的な巡回(リアル・オンライン)を通じて、業務改善のサポートを行っている。

たとえば、問い合わせ対応のオペレーション改善や、CRMシステムの効果的な活用方法など、実務に直結するアドバイスを受けられる。加盟店が抱える課題は様々だが、本部スタッフが多くの「引き出し」を持っているため、一緒になって解決策を模索できる。

また、定期的に開催される加盟店会合では、他の加盟店とのネットワークを構築できる。成功事例の共有や、課題解決のヒントを得る機会として、多くの加盟店が活用している。


まとめ──レスポンスの速さは「姿勢と仕組み」の問題

本稿では、営業時間外の問い合わせに対応する仕組みについて解説してきた。最後に、重要なポイントを整理しておこう。

【なぜ営業時間外対応が重要なのか】

  • 顧客の71.5%が「レスポンスの早さ」を満足点として挙げている
  • 顧客は夜間・休日に物件を検索し、その瞬間に問い合わせを送る
  • 「最初の60分」が成約率を左右する

【自動返信システムの設計ポイント】

  • 第一報は「完璧な回答」でなくていい
  • 具体的な返信予定時刻を明示する
  • メール・LINE・チャットボットなど、チャネルに応じた設計を行う

【翌朝フォローの設計ポイント】

  • 営業開始後15分間は、夜間問い合わせ対応に専念する
  • 顧客が使ったチャネルで返信するのが基本
  • テンプレートを活用し、質とスピードを両立させる

【仕組み化を支えるシステム】

  • CRMシステムによる問い合わせの一元管理
  • ビジネスチャットツールとの連携による通知
  • 物件情報の鮮度維持

レスポンスの速さは、技術やノウハウよりも、姿勢と仕組みの問題である。顧客は、あなたの都合を待ってはくれない。スマートフォン片手に、常に複数の選択肢を検討している。その中で選ばれるためには、最高のサービスを提供するだけでなく、最速のレスポンスを実現しなければならない。

今日から、いや今すぐ、「営業時間外対応」の仕組みを見直そう。その一歩が、確実に成果となって返ってくるはずだ。