【反響から来店へ】来店予約率を劇的に高めるメール・電話対応術|初回コンタクトで差がつく具体的トーク例

不動産賃貸仲介業界において、「反響はあるのに来店に繋がらない」という課題を抱える経営者は少なくない。不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に実施した調査によると、賃貸物件を契約した顧客が問い合わせた不動産会社数は平均3.3社で、これは2015年以降で最多となった。一方、実際に訪問した不動産会社数は平均2.0社に留まる。この数字が示すのは、約4割の問い合わせが来店に至らず「取りこぼされている」という厳しい現実だ。
では、限られた来店枠を勝ち取る不動産会社と、反響止まりで終わる会社との違いはどこにあるのか。本稿では、同調査で明らかになった顧客の満足・不満ポイントを徹底分析し、初回コンタクトで来店アポを確実に獲得するための具体的なメール文例・電話トークスクリプトを公開する。
「来店するのは問い合わせた会社の約6割」という現実
まず押さえておくべきは、現代の部屋探しにおける顧客行動の変化だ。
RSCの2025年調査では、賃貸契約者が物件探しから契約までに問い合わせた不動産会社数は平均3.3社。特に注目すべきは「5社以上」に問い合わせた層が全体の21.0%に達している点である。つまり、顧客は複数の不動産会社に同時並行でアプローチし、その中から「来店する価値がある」と判断した会社のみを選別している。
問い合わせから来店への転換率を単純計算すると、3.3社から2.0社への絞り込みで約60%。逆に言えば、10件の問い合わせのうち4件は来店に繋がっていないことになる。この4割をいかに取り込むかが、賃貸仲介会社の業績を大きく左右する。
顧客が「来店したい」と思う決め手
同調査で「不動産会社の対応で満足だったこと」を尋ねた結果、上位に挙がった項目は以下の通りだ。
| 順位 | 満足ポイント | 賃貸契約者の割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 問い合わせに対するレスポンスが早かった | 67.9% |
| 2位 | こちらの都合を配慮してくれた | 49.4% |
| 3位 | 言葉遣いや対応が丁寧だった | 39.5% |
| 4位 | 物件の提案や追加の連絡などをしてくれた | 38.3% |
| 5位 | 内見をさせてくれた | 38.3% |
この結果から読み取れるのは、顧客が不動産会社を選ぶ際に「対応スピード」と「顧客本位の姿勢」を最も重視しているということだ。裏を返せば、この2点で競合他社に勝つことができれば、来店予約率は飛躍的に向上する。
来店率を下げる「不満対応」ワースト5
一方、顧客が不満を感じた対応も明らかになっている。これらは「来店を見送る理由」に直結するため、自社の対応に該当する項目がないか厳しくチェックする必要がある。
| 順位 | 不満ポイント | 賃貸契約者の割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 問い合わせをしたら「その物件はもうない」と言われた | 24.7% |
| 2位 | 契約の意思決定を急かされた | 23.5% |
| 3位 | 言葉遣いや対応が気に障った | 22.2% |
| 4位 | 問い合わせをしたら返答が遅かった | 17.3% |
| 5位 | 問い合わせへの回答が的を射ていなかった | 14.8% |
特に深刻なのが「その物件はもうない」という回答だ。大手不動産ポータルサイトに掲載している物件情報の更新が追いついていない場合、せっかくの反響を「おとり物件」と誤解されかねない。物件情報の鮮度管理は、来店率向上の大前提である。
また「契約の意思決定を急かされた」という不満が上位に入っている点も見逃せない。初回コンタクトの段階で営業色を出しすぎると、顧客は警戒心を強め、来店自体を見送る判断をする。
電話対応編:来店アポを獲得する実践トークスクリプト
電話対応は、文字情報だけでは伝わらない「温度感」を伝えられる貴重な機会だ。以下に、来店率を高める具体的なトークスクリプトを紹介する。
基本フレーム:最初の30秒で勝負が決まる
電話に出てからの最初の30秒間で、顧客は「この会社に行くかどうか」を無意識のうちに判断している。以下の4ステップを徹底することで、来店への心理的ハードルを下げることができる。
ステップ1:明るいトーンでの第一声
「お電話ありがとうございます。〇〇不動産の△△でございます。本日はどのようなお部屋をお探しでしょうか」
ポイントは「ありがとうございます」を省略しないこと。顧客は複数社に問い合わせている可能性が高いため、この一言で「丁寧な会社」という第一印象を与える。
ステップ2:傾聴と共感
顧客の要望を聞く際は、相槌と共感のフレーズを適切に挟む。
「なるほど、〇〇エリアで△△万円以内をお探しなんですね。最近、このエリアは人気が出てきているので、良いお部屋はすぐに埋まってしまうんです」
この発言には2つの効果がある。1つは顧客の要望を正確に理解していることの証明。もう1つは、エリアの市場状況を把握している専門家としての信頼感の醸成だ。
ステップ3:具体的な提案と選択肢の提示
「現在、ご条件に合う物件が3件ございます。お問い合わせいただいた〇〇マンションも含めて、一度ご紹介させていただけますでしょうか」
ここで重要なのは「問い合わせ物件以外にも良い物件がある」ことを伝えること。これにより、来店する理由が「1つの物件を見るため」から「複数の選択肢を比較検討するため」に変わる。
ステップ4:来店日時の提案(二者択一法)
「ご都合はいかがでしょうか。今週末の土曜日と日曜日でしたら、どちらがご都合よろしいですか」
「いつがいいですか」ではなく、具体的な2つの選択肢を提示することで、顧客の意思決定を促進する。これは心理学でいう「二者択一法」であり、来店予約の獲得率を大きく向上させるテクニックだ。
「その物件はもうありません」への対応法
物件がすでに成約済みの場合、多くの営業担当者は「申し訳ございません、そちらの物件は終了しております」と伝えて終わってしまう。しかし、これでは顧客を失うだけでなく、「おとり物件を掲載している会社」という印象を与えかねない。
推奨するトークは以下の通りだ。
「大変申し訳ございません。お問い合わせいただいた〇〇マンションは、昨日お申し込みが入ってしまいました。ただ、同じ〇〇エリアで、駅からの距離も家賃もほぼ同条件の物件が2件ございます。お問い合わせいただいた物件を気に入られた理由をお聞かせいただければ、お客様にぴったりの物件をご提案できるかと思いますが、いかがでしょうか」
このトークのポイントは3つある。
- 物件がなくなった理由を「申し込みが入った」と具体的に伝え、人気物件であったことを暗に示す
- 代替案を即座に提示し、来店の理由を作る
- 顧客のニーズを深掘りする質問で、会話を継続させる
メール対応編:開封率・返信率を高める文面テンプレート
メールでの問い合わせ対応は、電話とは異なる戦略が求められる。顧客は複数社からのメールを比較検討するため、「読まれるメール」と「返信したくなるメール」を書く技術が必要だ。
件名で開封率が3倍変わる
メールの開封率を左右するのは件名だ。以下に、開封率が高い件名パターンを紹介する。
パターン1:物件名+特典訴求型
「【〇〇マンション】内見予約受付中|仲介手数料のご相談承ります」
パターン2:緊急性訴求型
「【お急ぎください】〇〇様お問い合わせの物件、内見予約が入り始めています」
パターン3:パーソナライズ型
「〇〇様へ|ご希望条件に合う新着物件3件をお届けします」
NGなのは「お問い合わせありがとうございます」のような一般的な件名だ。これでは他社のメールに埋もれてしまう。
本文テンプレート:返信を促す構成
以下に、実際に高い返信率を記録しているメールテンプレートを公開する。
件名:【〇〇マンション】〇〇様専用のご提案書をお送りします
〇〇様
はじめまして。△△不動産の□□と申します。 このたびは、〇〇マンションにお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。
お問い合わせいただいた物件は、〇〇駅から徒歩5分という好立地と、築浅ならではの設備充実度から、現在問い合わせが集中しております。
つきましては、〇〇様にいち早くご内見いただけるよう、下記日程でご予約を承っております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ご内見可能日】 ・1月25日(土)10:00〜 / 14:00〜 ・1月26日(日)10:00〜 / 14:00〜 / 16:00〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
また、〇〇様のご希望条件「〇〇エリア・△△万円以内・1LDK以上」に合致する物件を、あと2件見つけております。よろしければ、ご来店時にあわせてご紹介させてください。
ご都合のよい日時をご返信いただけますと幸いです。 ご不明点がございましたら、お気軽にお電話(000-0000-0000)でもお問い合わせください。
〇〇様のご来店を心よりお待ちしております。
このテンプレートには、来店率を高めるための工夫が複数盛り込まれている。
- 緊急性の演出:「問い合わせが集中」という表現で、早めの行動を促す
- 具体的な日程提示:漠然と「ご都合のよい日に」とするのではなく、選択肢を明示
- 追加提案の予告:「あと2件見つけている」ことで、来店のメリットを強調
- 複数の連絡手段:メール返信が面倒な顧客のために電話番号も記載
返信がない場合のフォローメール
初回メールに返信がない場合、2〜3日後にフォローメールを送ることが重要だ。ただし、押し売り感のある文面は逆効果となる。
件名:【再送】〇〇マンションのご内見について|〇〇様
〇〇様
先日お問い合わせいただきました△△不動産の□□です。
〇〇マンションについて、その後ご検討状況はいかがでしょうか。
実は本日、同じマンションの別のお部屋にお申し込みが入りました。〇〇様がお問い合わせいただいたお部屋は、まだ募集中ではございますが、週末に複数組のご内見予約が入っております。
もしまだご検討中でしたら、お早めにご内見いただくことをおすすめいたします。 今週末のご都合はいかがでしょうか。
もちろん、別の物件のご紹介も可能ですので、お気軽にお申し付けください。
このフォローメールでは、「同じマンションの別の部屋に申し込みが入った」という事実を伝えることで、営業トークではなく有益な情報提供として受け取ってもらえる工夫をしている。
レスポンス速度を劇的に改善する仕組みづくり
調査で「レスポンスの早さ」が満足度トップに挙がっていることは前述の通りだ。では、具体的にどの程度の速度が求められているのか。
業界の一般的な目安として、メール問い合わせへの初回返信は「30分以内」が理想とされている。特に大手不動産ポータルサイト経由の問い合わせは、顧客が複数社に同時送信しているケースが多いため、最初に返信した会社が圧倒的に有利になる。
即時対応を可能にする3つの施策
施策1:自動返信メールの活用
問い合わせを受けた直後に自動返信メールを送信する設定を行う。この自動返信は「受付完了」を伝えるだけでなく、簡易的な物件情報や来店予約フォームへのリンクを含めることで、顧客のアクション喚起に繋げる。
施策2:営業時間外対応のルール化
土日や夜間の問い合わせに対応できない会社は、それだけで競合に後れを取る。最低限、自動返信で「翌営業日の午前中に担当者からご連絡いたします」と明記し、翌朝一番で対応することを社内ルールとして徹底する。
施策3:対応テンプレートの整備
よくある問い合わせパターンごとに、返信テンプレートを用意しておく。テンプレートは「そのまま送信」ではなく、顧客名や物件名、条件などをカスタマイズして使用することで、効率と質を両立させる。
「選ばれる会社」になるための差別化ポイント
来店予約率を高めるためには、対応スピードや丁寧さに加えて、「この会社で部屋を探したい」と思わせる差別化要素が必要だ。
差別化ポイント1:地域情報の提供
物件情報だけでなく、周辺エリアの生活利便性や治安情報、将来の開発計画なども伝えることで、「この営業担当は地域のことをよく知っている」という信頼感を醸成できる。
差別化ポイント2:顧客の潜在ニーズの発掘
「駅徒歩10分以内」という顧客に対して、「通勤時間を短縮したい」という本質的なニーズを引き出し、「駅徒歩15分でも始発駅なので座って通勤できる物件」を提案するなど、顧客自身が気づいていない選択肢を提示できる会社は選ばれやすい。
差別化ポイント3:オンライン対応の充実
同調査では、非対面型サービスへの利用意向として「IT重説」が56.7%、「オンライン契約」が51.0%と高い数値を示している。来店前のオンライン相談や、VR内見の対応など、顧客の利便性を高めるサービスを用意している会社は、それだけで選ばれる理由になる。
まとめ:来店予約率向上のための実践チェックリスト
最後に、本稿で解説した内容を実践するためのチェックリストを示す。自社の対応を振り返り、改善点を洗い出す際に活用してほしい。
即時対応の仕組み
- □ 問い合わせから30分以内に初回返信できる体制があるか
- □ 営業時間外の問い合わせに対する自動返信を設定しているか
- □ 翌営業日の対応ルールが社内で共有されているか
電話対応の品質
- □ 第一声で「ありがとうございます」と伝えているか
- □ 顧客の要望を復唱して確認しているか
- □ 来店日時は二者択一で提案しているか
- □ 物件がない場合の代替提案トークを準備しているか
メール対応の品質
- □ 件名に顧客名や物件名を入れてパーソナライズしているか
- □ 本文に具体的な来店日程の選択肢を入れているか
- □ 追加提案できる物件があることを伝えているか
- □ 2〜3日後のフォローメールを送っているか
物件情報の管理
- □ 成約物件の情報を当日中に更新しているか
- □ 「その物件はありません」で終わらない対応ができているか
不動産賃貸仲介において、反響を来店に繋げる力は収益に直結する。問い合わせた3.3社の中から「来店する2社」に選ばれるかどうかは、初回コンタクトの質で決まる。本稿で紹介したトークスクリプトやメールテンプレートを自社流にアレンジし、来店予約率の向上に取り組んでいただきたい。
反響対応の仕組みづくりや、スタッフの教育体制に課題を感じている経営者の方は、フランチャイズ本部のノウハウを活用することも一つの選択肢だ。ハウスコムフランチャイズでは、設立から25年以上にわたり蓄積してきた賃貸仲介のノウハウを加盟店に提供し、売上向上を支援している。「本部は加盟店の収益を上げていただくことを第一に考えている」という姿勢のもと、定期的な巡回サポートやベンチマークセミナーを通じて、経営課題の解決をサポートする体制が整っている。
来店率の改善だけでなく、経営全般の強化を目指す方は、ぜひ一度、ハウスコムフランチャイズの加盟店募集サイト(https://housecom-fc.jp/)で詳細を確認してみてはいかがだろうか。


