【2025年最新調査】売買仲介の成約率を劇的に変える「迅速対応」の新常識──顧客の76%が求めるスピード対応を実現する7つの実践戦略

不動産売買の顧客が「不動産会社に求めるもの」は、この1年で大きく変化している。2025年に実施された不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の調査によれば、売買検討者が「問合せに対する迅速対応」を求める割合は76.2%に達し、前年の54.4%から実に21.8ポイントもの急上昇を記録した。
これは単なるトレンドではない。物件情報の検索から契約までの期間が長期化し、比較検討する会社数が増加している中で、顧客は「誰がいち早く、的確に対応してくれるか」をシビアに見極めている。迅速対応ができる会社だけが、この競争を勝ち抜けるのだ。
本稿では、最新の調査データを紐解きながら、不動産売買仲介において成約率を高める「迅速対応」の具体的な手法を解説する。
1. 数字が証明する「迅速対応」の圧倒的重要性
売買顧客の意識は1年でここまで変わった
RSCが2025年1月から5月にかけて実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」の結果は、不動産業界に衝撃を与えた。
売買契約者が不動産会社に求めるものとして、「問合せに対する迅速対応」は前年比21.8ポイント増の76.2%を記録。同様に「最新の物件情報の提供」は16.6ポイント増の50.8%、「引越し・入居後のフォロー」も11.8ポイント増の57.1%と、複数の項目で10ポイントを超える急激な上昇が確認された。
この背景には、売買検討者の行動変化がある。物件を契約するまでに問い合わせた不動産会社数は平均3.8社(前年比0.8社増)、問い合わせた物件数は平均5.3件と、いずれも増加傾向にある。顧客は複数の会社を比較し、その中から最も信頼できるパートナーを選んでいるのだ。
「レスポンスの早さ」が満足度の最重要ファクターに
同調査では、不動産会社の対応で「満足だったこと」の第1位に「問合せに対するレスポンスが早かった」が選ばれている。売買契約者の実に76.2%がこの項目を挙げており、2位の「こちらの都合を配慮してくれた」(54.0%)を大きく引き離した。
一方、「不満だったこと」では「問合せへの回答が的を射ていなかった」「問合せをしたら返答が遅かった」が上位に並ぶ。顧客は「早い」だけでなく「早くて的確」な対応を求めているのだ。
2. 検討期間の長期化がもたらす新たな競争環境
3ヶ月以上かけて検討する顧客が増加
売買における住まい探しの検討期間は長期化の一途をたどっている。2025年の調査では、契約までに3ヶ月以上かけた顧客の割合が40.3%に達し、前年より4.4ポイント増加した。
検討期間が長いということは、その間に顧客が複数の会社と接触する機会が増えることを意味する。実際、訪問した不動産会社数も平均3.0社と前年比0.3社増加しており、「6社以上」訪問した顧客の割合は2年連続で増えている。
比較される時代の生存戦略
この環境下で成約を勝ち取るには、「最初の接触」で好印象を残すことが決定的に重要になる。RSCの調査では、不動産会社を選ぶポイントとして「不動産会社に対する口コミ情報」が前年より重視される傾向が出ており、一度の対応が次の顧客獲得にも影響を与える構造が見えてくる。
迅速かつ丁寧な対応は、目の前の成約だけでなく、将来の見込み客を呼び込む投資でもある。
3. 30分以内の初期対応を実現する仕組みづくり
なぜ「30分」が重要なのか
顧客が大手不動産ポータルサイトで物件を検索し、問い合わせボタンを押す。その瞬間、顧客の期待値は最高潮に達している。この熱量が冷めないうちに接触できるかどうかが、成約率を左右する。
業界の実績として、問い合わせから30分以内に返信した場合と、2時間以上経過してから返信した場合では、来店率に明確な差が出るとされている。顧客は「待たされている」と感じた瞬間、次の会社に問い合わせを送っている。
実践テクニック①:問い合わせ通知の即時化
まず取り組むべきは、問い合わせ通知のリアルタイム化だ。メールだけでなく、社用スマートフォンへのプッシュ通知やチャットツールとの連携を設定することで、営業担当者が外出中でも即座に気づける環境を整える。
実践テクニック②:初期返信テンプレートの整備
すべての問い合わせに個別対応するのは現実的ではない。しかし、「テンプレート」と感じさせない初期返信は可能だ。物件名・所在地・問い合わせ内容を反映した半自動返信を設計し、「〇〇様、△△物件についてのお問い合わせありがとうございます。詳細は担当より30分以内にご連絡いたします」といった形で、まず「受け取った」ことを伝える。
実践テクニック③:対応担当者の即時アサイン
問い合わせが入った瞬間に担当者が決まっていなければ、対応は遅れる。エリアや物件種別ごとに担当を事前に決めておくか、当番制でリードの初期対応者を明確にしておくことが有効だ。
4. 「的を射た回答」を素早く提供する物件知識の体系化
顧客が求める「詳細説明力」の正体
RSCの調査では、売買契約者が不動産会社に求めるものとして「物件に対する詳細説明力」が73.5%に達している。「特に重要なもの」としても16.0%が選択しており、前年比10.2ポイントの大幅増加を記録した。
顧客は「この物件の良いところを教えてください」と聞いているのではない。「この物件を購入して後悔しないか、判断材料をすべて教えてほしい」と思っている。築年数、耐震性能、周辺環境、将来の資産性、災害リスクなど、多角的な情報を「聞かれる前に」提供できる会社が選ばれる。
物件情報データベースの構築
迅速かつ的確な説明を可能にするには、物件ごとの情報を整理したデータベースが不可欠だ。以下の項目を事前に整理しておくことで、問い合わせ対応のスピードと質が劇的に向上する。
- 物件の基本情報(築年数、構造、専有面積、管理状況)
- 周辺環境情報(最寄駅からの実測徒歩時間、商業施設、学区)
- ハザード情報(洪水、土砂災害、地盤の強さ)
- 資産性に関する情報(周辺の取引事例、賃料相場)
- 省エネ性能(断熱等級、設備の省エネ仕様)
ハザード情報への関心急上昇
注目すべきは、売買検討者の62.9%が「地盤の強さ(固さ)」を物件情報以外に必要な情報として挙げている点だ。「ハザード情報」を挙げた割合も高く、災害リスクへの意識は年々高まっている。
これらの情報を事前に整理し、問い合わせ対応の初期段階で提供できれば、顧客の信頼を一気に獲得できる。
5. 「正確さ」と「スピード」を両立する物件情報管理
「その物件はもうない」が顧客離れを招く
RSCの調査で、不動産会社の対応で不満だったこととして「問合せをしたら、『その物件はもうない』と言われた」が上位に入っている。物件情報の鮮度管理は、迅速対応と並ぶ重要課題だ。
顧客は、大手不動産ポータルサイトで魅力的な物件を見つけ、期待を込めて問い合わせる。その返事が「募集終了」だったとき、落胆だけでなく不信感が生まれる。「この会社は情報管理がずさんだ」という印象は、その後の対応がどれだけ丁寧でも払拭しにくい。
物件ステータスの毎日更新ルール
物件情報の鮮度を保つには、日次での情報更新を社内ルール化することが有効だ。具体的には、毎朝の業務開始時に前日の問い合わせ状況と物件ステータスを確認し、募集終了や条件変更があれば即座にポータルサイトへ反映する。
また、問い合わせが多い物件については、オーナーや管理会社との連絡頻度を上げ、リアルタイムでの状況把握に努める。
「終了物件」の代替提案で信頼を勝ち取る
万が一、問い合わせ物件がすでに終了していた場合でも、類似物件の提案を即座に行うことで挽回は可能だ。「〇〇物件は残念ながら募集終了となりましたが、同エリアで条件が近い物件を3件ご用意しました」と伝えられれば、顧客は「この会社は親身だ」と感じる。
6. 営業時間外の問い合わせを取りこぼさない体制
夜間・休日の問い合わせは宝の山
顧客が物件を検索するのは、仕事が終わった夜間や休日であることが多い。大手不動産ポータルサイトの閲覧ピークは夜21時から23時という統計もあり、この時間帯に問い合わせが集中するのは自然なことだ。
しかし、多くの不動産会社は18時や19時で営業を終えており、夜間の問い合わせには翌朝まで対応できない。この「空白の時間」に競合他社が先に対応していれば、顧客はそちらに流れてしまう。
自動返信+翌朝一番対応の組み合わせ
24時間有人対応は現実的でないとしても、自動返信メールを設定しておくだけで印象は大きく変わる。「お問い合わせありがとうございます。担当者より翌営業日の9時30分までに必ずご連絡いたします」と具体的な時刻を明記することで、顧客の不安を軽減できる。
そして、約束した時刻より早く連絡することで、「言ったことを守る会社」という信頼を築ける。
チャットボットの戦略的活用
近年は不動産業界でもチャットボットの導入が進んでいる。よくある質問への自動回答や、内見予約の仮受付をチャットボットに任せることで、24時間対応の一部を自動化できる。
ただし、チャットボットはあくまで「つなぎ」であり、顧客が本当に求めているのは人間の担当者からの的確な回答だ。自動化と人的対応のバランスを意識し、「待たせない」かつ「機械的でない」対応を設計することが重要である。
7. 顧客接点の「質」を高める継続フォロー戦略
売買は「一期一会」ではない
売買検討者の検討期間が長期化しているということは、最初の問い合わせから成約までに複数回の接点が生まれることを意味する。一度の対応で終わらせず、継続的なフォローを行うことで、成約確度を高められる。
RSCの調査では、「物件の提案や追加の連絡をしてくれた」ことを満足点として挙げた顧客が50.8%に達している。顧客は受け身で待っているのではなく、「自分に合った情報を積極的に提供してほしい」と考えている。
フォロー連絡の頻度とタイミング
継続フォローで重要なのは、「押しつけがましくない頻度」と「価値ある情報」の提供だ。週に何度も営業電話をかければ逆効果だが、新着物件の情報や市場動向のレポートを月に1〜2回送る程度であれば、多くの顧客は歓迎する。
また、内見後のフォロー連絡は48時間以内が理想的だ。「〇〇物件のご内見、ありがとうございました。ご検討状況はいかがでしょうか」と一言添えるだけで、顧客は「覚えていてくれた」と感じる。
CRMシステムの活用
継続フォローを属人的な記憶に頼ると、担当者の異動や退職で顧客情報が失われるリスクがある。CRM(顧客関係管理)システムを導入し、問い合わせ履歴、内見履歴、希望条件、連絡履歴をすべて記録しておくことで、誰が対応しても一貫した顧客体験を提供できる。
成約率向上のための「迅速対応」チェックリスト
最後に、本稿で解説した内容を実践するためのチェックリストを掲載する。自社の体制を点検し、改善すべきポイントを明確にしてほしい。
【初期対応スピード】
- [ ] 問い合わせから30分以内の初期返信体制が整っているか
- [ ] 問い合わせ通知をスマートフォンでリアルタイム受信できるか
- [ ] 初期対応の担当者アサインルールが明確か
【物件情報の正確性】
- [ ] 物件ステータスを日次で更新しているか
- [ ] 募集終了時の代替物件提案フローがあるか
- [ ] ハザード情報・周辺環境情報を事前に整理しているか
【営業時間外対応】
- [ ] 夜間・休日の問い合わせに自動返信が設定されているか
- [ ] 翌営業日の対応時刻を明記しているか
- [ ] 約束した時刻より早く対応するルールがあるか
【継続フォロー】
- [ ] 内見後48時間以内のフォロー連絡を実施しているか
- [ ] 月1〜2回の情報提供(新着物件・市場動向)を行っているか
- [ ] CRMシステムで顧客情報を一元管理しているか
おわりに:迅速対応は「仕組み」で実現する
2025年のRSC調査が示すように、売買検討者の「迅速対応」への期待は前年比20ポイント以上も高まっている。この変化に対応できない会社は、顧客から選ばれなくなる。
しかし、迅速対応は根性論で実現するものではない。問い合わせ通知の仕組み、物件情報データベースの整備、CRMシステムの導入など、「仕組み」として体制を構築することで、安定的かつ継続的な迅速対応が可能になる。
不動産賃貸仲介業を展開するハウスコムグループでは、フランチャイズ加盟店に対して業務システムの提供や本部スタッフによる巡回サポートを実施している。「自社だけでは対応が難しい」と感じている経営者にとって、こうしたネットワークの活用も選択肢の一つとなるだろう。
顧客が求める「迅速さ」と「正確さ」を両立し、選ばれる不動産会社へと成長する一歩を、今日から踏み出してほしい。
出典:不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果(2025年10月27日公開)


