【保存版】ファミリー層が本当に求める物件情報とは?子育て世帯の成約率を高める7つの提案術

賃貸仲介の現場で、ファミリー層のお客様を前に「何を提案すればいいのか」と悩んだ経験はないだろうか。
2025年、住まい探しをする顧客の行動は大きく変化している。不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の最新調査によれば、賃貸物件を契約するまでに問い合わせる不動産会社数は平均3.3社と、過去11年で最多を記録した。検討期間は長期化し、顧客はより慎重に物件と不動産会社を選ぶ時代に入っている。
こうした環境下で、ファミリー層——特に子育て世帯——をいかに獲得するかは、賃貸仲介業者にとって喫緊の課題だ。本稿では、最新のアンケート調査データをもとに、ファミリー層が本当に求めている物件情報と、成約につながる提案方法を徹底解説する。
ファミリー層の物件選びは「生活の質」で決まる
家賃だけではない——子育て世帯が重視する5つの要素
RSCの調査によると、賃貸契約者が物件を決める際に「気にするポイント」として、「家賃」が最も高い割合を占めるのは言うまでもない。しかし、ファミリー層の場合は単純な価格競争だけでは勝負がつかない。
調査データを詳しく見ると、賃貸で特に重視される項目として以下が上位に挙がっている。
「駅の利便性」(44.4%) が家賃に次いで高く、次いで 「建物・部屋の綺麗さ」(33.3%)、「部屋数・間取り」 が続く。さらに見逃せないのは、「近隣の生活利便性」 への関心の高さだ。
子育て世帯にとって、毎日の通勤・通学のしやすさ、スーパーや病院へのアクセス、そして子どもが安全に過ごせる環境——これらが物件選びの決定要因となる。
つまり、ファミリー層への提案では「家賃と間取り」だけを並べても響かない。「この物件でどんな生活ができるのか」を具体的にイメージさせることが成約への鍵となるのだ。
【データで読み解く】子育て世帯が求める物件情報の中身
「物件情報以外」のニーズを制する者が成約を制す
同調査の「物件情報以外に必要だと思う情報」という設問では、興味深い傾向が浮かび上がった。
全体でトップとなったのは 「周辺情報」 で、直近3年間で最も高い数値を記録している。続いて 「建物の治安情報」、「地域の安全さ(治安)」 が上位にランクインした。
特筆すべきは、賃貸検討者において 「子育てサービス情報(保育・教育)」 や 「子育て情報」 への関心が高まっている点だ。これは、共働き世帯の増加や保育施設のニーズ拡大を背景に、住まい選びの段階から「子どもを育てられる環境かどうか」を重視する傾向を反映している。
提案に必須の「子育て関連情報」リスト
ファミリー層への提案時に準備しておくべき情報を整理すると、以下のようになる。
保育・教育環境
- 最寄りの保育園・幼稚園の所在地と定員状況
- 認可保育園の入りやすさ(待機児童数の実態)
- 学区内の小学校・中学校の評判や通学距離
- 学童保育の有無と利用条件
医療・安全
- 小児科・夜間対応病院へのアクセス
- 地域の治安情報(犯罪発生率、街灯の状況など)
- 災害リスク情報(ハザードマップに基づく浸水・地震リスク)
日常の利便性
- スーパー・ドラッグストアの営業時間
- 公園・緑地の有無と距離
- 子連れで利用しやすい飲食店・施設
これらの情報を物件ごとに整理し、提案時に提示できる体制を整えておくことが、競合他社との差別化につながる。
【実践】ファミリー層の成約率を高める7つの提案術
1. 「間取り図」ではなく「生活動線」で語る
ファミリー層に物件を紹介する際、間取り図を見せながら「3LDKです」と伝えるだけでは不十分だ。
効果的なのは、その間取りでどんな生活が実現するかを具体的に描写すること。例えば次のような言い回しが有効である。
「このリビングは、お子さまが遊んでいる様子をキッチンから見守れる配置になっています。また、玄関から洗面所が近いので、お子さまが帰宅してすぐ手洗いできる動線です」
このように、「子育て中の日常」を想起させる言葉を添えることで、顧客は具体的なイメージを持ちやすくなる。
2. 通学路の「実地情報」を武器にする
学区情報はネット上でも調べられる。だからこそ、仲介担当者が提供すべきは「現地でしかわからない情報」だ。
「最寄りの小学校までは徒歩10分ですが、途中に大通りを渡る箇所があります。ただ、この交差点には横断歩道と信号があり、登校時間帯は地域のボランティアの方が立っています」
こうした一歩踏み込んだ情報は、顧客の信頼を勝ち取る大きな武器となる。
3. 「保育園事情」は地域ごとの最新データを押さえる
共働きファミリーにとって、保育園に入れるかどうかは死活問題である。しかし、待機児童数は自治体ごとに大きく異なり、同じ市区町村内でもエリアによって状況は変わる。
提案時には、該当地域の保育園の空き状況や入園難易度について、できる限り最新の情報を収集しておきたい。自治体の窓口に問い合わせる、地域の保育園情報に詳しいスタッフを育成するなど、体制づくりも重要だ。
4. 周辺相場を「エビデンス付き」で説明する
顧客は複数の不動産会社を比較している。価格交渉や条件調整を求められた際、「この家賃が妥当かどうか」を論理的に説明できるかが、成約を左右する。
RSCの調査でも、不動産会社に求めるものとして「物件に対する説明力」が上位に挙がっている。周辺の類似物件と比較した相場感を示し、なぜこの価格設定なのかを丁寧に伝えることで、顧客の納得感は大きく高まる。
5. 「写真の点数」が集客を左右する事実を忘れない
同調査では、不動産会社を選ぶポイントとして 「写真の点数が多い」 がトップとなり、直近3年で最多を記録した。
ファミリー層は、物件選びに慎重な傾向がある。共働きで内見時間が限られるケースも多く、事前にできるだけ多くの情報を得たいと考えている。
物件写真は、外観・内装だけでなく、収納スペース、窓からの眺望、周辺環境(最寄りのスーパー、公園など)まで網羅的に撮影する。これだけで反響数が変わってくる。
6. 「レスポンスの速さ」で第一印象を決める
不動産会社の対応で「満足だったこと」のトップは 「問い合わせに対するレスポンスの早さ」 だった。一方、「不満だったこと」には 「問い合わせをしたら、『その物件はもうない』と言われた」 が上位にランクインしている。
顧客が問い合わせた時点で、その物件への関心は高い。迅速に、かつ正確な情報を返すことで、「この会社なら任せられる」という信頼感が生まれる。物件情報の更新頻度を高め、問い合わせへの初動対応を早める仕組みづくりが求められる。
7. オンライン対応の整備が「選ばれる理由」になる
調査によると、賃貸検討者における 「オンライン契約」 の利用意向は3年連続で増加し、2025年には51.0%に達した。IT重説の活用意向も56.7%と、調査開始以来の最高値を更新している。
特にファミリー層は、子どもの世話や仕事の都合で来店しにくい事情を抱えていることが多い。オンライン内見、IT重説、オンライン契約といった非対面サービスを整備しておくことは、顧客の利便性を高めるだけでなく、「この不動産会社を選ぶ理由」を提供することにもつながる。
子育て世帯を獲得するために「仕組み」を整える
地域密着×情報力で勝負する時代へ
ここまで述べてきた提案術は、いずれも「地域に根ざした情報収集力」と「顧客目線の提案力」を前提としている。
しかし、単独の店舗でこれらすべてを高いレベルで維持し続けることは容易ではない。物件情報の更新、周辺情報のデータベース化、オンライン対応の整備——いずれも時間とコストを要する。
こうした課題に対する一つの解決策が、フランチャイズ(FC)という選択肢だ。本部からの業務支援システム、反響送客、ノウハウ共有といったサポートを活用しながら、自社の強みである地域密着のサービスを磨いていく。
大手不動産ポータルサイトとの連携による集客力と、地元に根ざした情報力——この両輪を回すことで、ファミリー層をはじめとする幅広い顧客層を獲得する基盤が整う。
ファミリー層獲得は「信頼」の積み重ね
子育て世帯は、住まいに対して真剣だ。家族の安全、子どもの成長環境、日々の暮らしやすさ——すべてが関わる重大な決断だからこそ、信頼できる不動産会社を選びたいと考えている。
その信頼は、一朝一夕には得られない。正確な情報を迅速に提供し、顧客の質問に的確に答え、物件のマイナス面も誠実に伝える。こうした積み重ねが「この担当者に任せたい」という成約へとつながっていく。
まとめ:データに基づく提案が成約率を変える
ファミリー層が求める物件情報は、単なる「家賃」「間取り」「駅距離」にとどまらない。子育て環境、治安、生活利便性、そして信頼できる不動産会社の対応——これらすべてが物件選びの判断材料となる。
最新調査から見えてきたポイントを改めて整理する。
- 問い合わせる不動産会社数は平均3.3社、過去11年で最多——競合との比較は避けられない
- 「写真の点数が多い」が不動産会社選びの最重視ポイント——視覚情報の充実が集客を左右する
- 「周辺情報」「治安情報」へのニーズが過去最高——物件スペック以外の情報提供が差別化の鍵
- オンライン契約の利用意向は3年連続増加——非対面対応の整備が「選ばれる理由」になる
- レスポンスの早さと正確な情報——顧客満足度のトップ要因
ファミリー層の獲得は、一つひとつの提案の質を高めることから始まる。本稿で紹介したデータとノウハウを、ぜひ明日からの営業活動に活かしていただきたい。
【出典】
不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果(2025年10月公表)

