「口コミゼロ」の不動産会社が選ばれない時代へ――Googleビジネスプロフィールで地域No.1の信頼を勝ち取る口コミ活用術

あなたの店舗のGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を、最後に確認したのはいつだろうか。

大手不動産ポータルサイトに毎月少なくない広告費を投じ、物件情報を充実させているのに、なぜか来店につながらない。一方で、同じエリアの競合店舗は口コミ評価4.0以上、レビュー50件超――そんな光景を目にしたことはないだろうか。

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」によると、消費者が不動産会社を選ぶ際に特に重視するポイントとして「不動産会社に対する口コミ情報」が第2位にランクインした。しかも、この数値は前年から増加傾向にある。さらに同調査では、物件情報の鮮度や正確性が信頼できる情報源として「インターネットの口コミ」が上位に入り、「不動産会社の自社ホームページ」に次ぐ存在感を示している。

つまり、いま消費者は物件そのものだけでなく、「どの不動産会社に任せるか」を口コミで比較検討しているのだ。

本記事では、地域密着型の不動産賃貸仲介会社が今すぐ取り組むべきGoogleビジネスプロフィールの口コミ管理戦略を、データと実践ノウハウの両面から徹底的に解説する。読後には、明日から実行できる具体的なアクションプランが手に入るはずだ。


Table of Contents

消費者の「不動産会社選び」は劇的に変わった

問い合わせ社数は過去11年で最多――比較される時代の到来

RSCの2025年調査は、不動産業界にとって見過ごせないトレンドを明確に示している。賃貸物件を契約するまでに消費者が問い合わせた不動産会社の数は平均3.3社。これは2015年以降で最多の数値だ。5社以上に問い合わせたユーザーの割合も21.0%に達しており、「1社目で決める」時代は過去のものとなった。

さらに検討期間も長期化し、1カ月以上かけて物件を探す割合は前年比で増加している。消費者は以前にも増して慎重に、複数の不動産会社を比較したうえで来店先を決めている。

この「比較される時代」において、消費者はどこで判断材料を得ているのか。それが、Googleビジネスプロフィール上の口コミなのだ。

口コミが「特に重視するポイント」で第2位に浮上

同じRSC調査のQ5「問合せや訪問を行う際に不動産会社を選ぶポイント」では、「写真の点数が多い」がトップに立つ一方、「不動産会社に対する口コミ情報」が特に重視するポイントとして第2位にランクインしている。

注目すべきは、「店舗がアクセスしやすい場所にある」という項目が2年連続で減少していることだ。かつて不動産会社選びの大きな基準だった「立地の良さ」よりも、口コミや物件写真などのオンライン情報を重視する傾向が鮮明になっている。

駅前の一等地に店舗を構えていなくても、口コミの質と量で選ばれる会社になれる。これは、地域密着型の中小不動産会社にとって、むしろチャンスと言えるだろう。

信頼できる情報源としての「インターネットの口コミ」

RSC調査Q8では、物件情報の鮮度や正確性が信頼できると思う情報源について尋ねている。トップは「不動産情報サイト(大手不動産ポータルサイト)」、2位は「不動産会社の自社ホームページ」だが、「インターネットの口コミ」も全体で上位に食い込んでいる。

また、不動産情報サイト以外に住まい探しで利用するものとして、賃貸検討者の約25%が「インターネットの口コミ」を挙げている。消費者は大手不動産ポータルサイトで物件を見つけた後、その不動産会社のGoogleビジネスプロフィールや口コミを確認してから問い合わせるか来店するかを判断する――このような行動パターンが定着しつつある。


なぜGoogleビジネスプロフィールが不動産会社にとって最重要なのか

無料で使える「最強のローカル集客ツール」

Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップ上に店舗情報を表示し管理できる無料のツールだ。「○○市 不動産」「△△駅 賃貸」といったローカル検索を行うと、検索結果の最上部に表示される「ローカルパック(マップ枠)」に、Googleビジネスプロフィールの情報が表示される。

これはSEO対策を施した自社ホームページや大手不動産ポータルサイトよりも上部に表示されるケースが多い。つまり、消費者が最初に目にする情報がGoogleビジネスプロフィールであり、そこに掲載されている口コミ評価・件数・写真が第一印象を左右するのだ。

大手不動産ポータルサイトへの掲載には毎月の広告費がかかるのに対し、Googleビジネスプロフィールの登録・運用は基本無料。費用対効果という点でも、不動産会社がまず取り組むべき施策と言える。

「MEO対策」と不動産会社の相性が良い理由

MEO(Map Engine Optimization=地図検索最適化)対策とは、Googleマップ上で自店舗を上位表示させるための施策を指す。不動産賃貸仲介業は「地域」と「エリア」が商圏に直結するビジネスであり、ローカル検索との親和性が極めて高い。

Googleが上位表示の判断基準とする3つの要素は以下の通りだ。

1つ目は「関連性」。検索キーワードとビジネスプロフィールの情報がどれだけ一致しているかが評価される。「賃貸仲介」「ペット可物件」などの情報を正確に登録することが重要だ。

2つ目は「距離」。検索ユーザーの現在地と店舗の物理的な距離が考慮される。地域密着型の不動産会社にとっては、まさに地の利を活かせるポイントだ。

3つ目は「視認性の高さ(知名度)」。口コミの数や評価、ウェブ上での言及量などが影響する。ここで、口コミ対策が直接的にMEO順位に寄与してくる。

業界全体を見渡すと、多くの不動産会社がまだGoogleビジネスプロフィールを十分に活用できていない。大手不動産ポータルサイトへの依存度が高く、MEO対策にまで手が回っていないのが実情だ。だからこそ、早期に取り組んだ会社が地域内で圧倒的な差をつけられるのだ。


口コミを「集める」――明日から実践できる7つの施策

施策1:口コミ依頼のベストタイミングを見極める

口コミは待っていても自然には増えない。能動的に依頼することが不可欠だ。ただし、依頼のタイミングを誤ると効果は半減する。

最も効果的なのは、顧客の満足度が最大になる瞬間だ。具体的には、契約手続き完了時、鍵渡しの際、入居後のフォロー電話時などが該当する。特に鍵渡しの場面は、新生活への期待感が高まっている瞬間であり、好意的な口コミを書いてもらいやすい。

施策2:QRコードカードでハードルを下げる

「口コミをお願いします」と口頭で伝えるだけでは、多くの顧客がそのまま忘れてしまう。Googleビジネスプロフィールの口コミ投稿ページに直接飛ぶQRコードを印刷したカードを作成し、契約書類と一緒に渡すのが有効だ。

カードには「ご感想をお聞かせください」「スタッフの励みになります」など、相手に負担をかけない表現を添えよう。スマートフォンでQRコードを読み取るだけで投稿画面に遷移するため、顧客の手間は最小限に抑えられる。

施策3:具体的な口コミを促すガイドを用意する

「スタッフの対応はいかがでしたか?」「物件探しで特に役立った点はありましたか?」といったガイド質問を2〜3つ添えておくと、具体性のある口コミが集まりやすくなる。

「良かったです」の一言より、「担当の○○さんが初めての一人暮らしで不安だった私に、周辺のスーパーや病院の情報まで教えてくれました」という口コミの方が、それを読む次の潜在顧客に対して遥かに訴求力がある。

ローカルSEOの各種調査でも、口コミの「中身」――具体的なサービス内容やスタッフ名への言及――がGoogleの検索評価に影響するとされている。

施策4:社内でKPIを設定し、口コミ獲得を仕組み化する

口コミ施策が続かない最大の原因は、「やった方がいいと分かっているが、日々の業務に追われて後回しになる」ことだ。これを防ぐには、月次の口コミ獲得件数をKPIとして設定し、朝礼や週次ミーティングで進捗を共有する仕組みが有効だ。

まずは「月5件」など達成可能な目標からスタートし、口コミ数が10件を超えた段階で「競合店舗の件数を超える」ことを次の目標に据えよう。ある調査では、口コミが10件以上あるだけで、地方の不動産会社では「地域で人気の不動産屋」という印象を与えられるとされている。

施策5:全スタッフに口コミの重要性を共有する

口コミ依頼を受付担当や店長だけの仕事にしてはいけない。物件案内を担当した営業スタッフこそが、顧客との信頼関係を最も深く築いている人物だ。

全スタッフに「口コミは会社の資産であり、お客様からの最高のフィードバックである」という意識を浸透させることが重要だ。研修の場で口コミの重要性を伝え、実際に高評価の口コミを社内で共有して称え合う文化をつくることで、全員参加型の口コミ獲得体制が生まれる。

施策6:退去時のフォローも口コミチャンスに変える

見落とされがちだが、退去時の対応も口コミ獲得の好機だ。退去手続きがスムーズだった、敷金精算が明瞭だった、次の住まい探しも相談に乗ってもらえた――こうしたポジティブな体験は、口コミとして高い価値を持つ。

入居から退去まで一貫して丁寧な対応を行うことで、長期的に口コミが蓄積されるサイクルが生まれる。

施策7:Googleのガイドラインを厳守する

口コミ獲得において絶対に守るべきルールがある。Googleのガイドラインでは、以下の行為が明確に禁止されている。

  • 金銭、割引、物品と引き換えに口コミを依頼すること
  • 従業員やアルバイトによる自作自演の口コミ投稿
  • 満足度の高い顧客だけに選別して口コミを依頼する「レビューゲーティング」

これらに違反した場合、口コミの削除、検索順位の低下、アカウントの停止といったペナルティが科される可能性がある。近年はAIによる不正検知も強化されており、不自然に高評価が集中するパターンは特に厳しくチェックされる。誠実に、全ての顧客に平等に口コミを依頼することが鉄則だ。


口コミを「活かす」――返信と改善の実践テクニック

すべての口コミに返信する――「無視」は最大のリスク

口コミが集まり始めたら、次に重要になるのが「返信」だ。高評価の口コミにだけ返信し、低評価のものを放置するのは厳禁。「都合の悪い声を無視している」という印象を与え、かえってブランドイメージを損なう。

海外のマーケティング調査では、レビュー評価が星3.5〜3.7以上で、かつ口コミへの返信率が高い店舗ほどアクション率(来店率・問い合わせ率)が大幅に向上するという結果が示されている。口コミの評価点、件数、そして返信の有無が来店を左右する三大要素なのだ。

高評価口コミへの返信テンプレート

高評価の口コミには、感謝を伝えつつ次のアクションにつなげる返信が効果的だ。

ポイントは3つある。まず、顧客の名前や具体的な内容に触れて「あなたの声をきちんと読んでいます」と伝えること。次に、口コミに書かれたサービス内容を自然に補足すること(例:「周辺の生活情報もご案内させていただき、ありがとうございます。当店では初めてのお部屋探しの方にも安心いただけるよう、地域情報のご提供に力を入れております」)。そして、「今後のお住まいのことでお困りの際は、いつでもご相談ください」と継続的な関係性を示すことだ。

ネガティブ口コミは「サービス改善のチャンス」

RSCの2025年調査Q11では、不動産会社への不満として「その物件はもういないと言われた」「言葉遣いや対応が気に障った」「問合せへの回答が的を射ていなかった」などが上位に挙がっている。

ネガティブな口コミが投稿された場合の対応手順は以下の通りだ。

第一に、24時間以内に返信することを目標とする。放置期間が長いほど、その口コミを閲覧する潜在顧客の数が増え、ネガティブな印象が広がってしまう。

第二に、事実確認を行い、不快な思いをさせたことへの謝罪を簡潔に述べる。

第三に、具体的な改善策や今後の対応方針を明記する。

第四に、詳細な事情確認が必要な場合は、「お手数ですが、直接ご連絡いただけますと幸いです」とオフラインでの対話に誘導する。

重要なのは、ネガティブ口コミへの丁寧な対応そのものが、他の閲覧者に「この会社は顧客の声に真摯に向き合っている」というメッセージになるということだ。クレーム対応の質が、次の顧客からの信頼獲得に直結する。

口コミの内容を経営に活かすフィードバックループ

月に一度、すべての口コミを集計し、内容を分類してみよう。「接客対応」「物件提案の質」「レスポンスの速さ」「店舗の雰囲気」などカテゴリ別に整理すると、自社の強みと弱みが数字として可視化される。

例えば、「レスポンスが早かった」という口コミが多ければ、それは自社の強みとして採用ページや自社ホームページでも打ち出せる差別化ポイントだ。逆に、「物件情報が古かった」という指摘が複数あれば、物件データの更新頻度を見直す具体的なきっかけになる。

口コミは単なる評価ではなく、お金をかけずに得られる「顧客の本音リサーチ」だ。


Googleビジネスプロフィールを最適化する──口コミ以外の重要施策

写真は「量」と「質」の両方で勝負する

RSC調査で「写真の点数が多い」が不動産会社選びのトップに立ったことからも分かるように、視覚的な情報は消費者の意思決定を大きく左右する。

Googleビジネスプロフィールには、以下の写真を積極的に掲載しよう。

  • 店舗外観(初めて訪問する顧客が迷わないように、複数のアングルから)
  • 店内の雰囲気(清潔感のある接客スペース、キッズコーナーがあれば必ず撮影)
  • スタッフの写真(笑顔の自然な表情で、親しみやすさを伝える)
  • 周辺環境の写真(駅からのアクセス、近隣の商業施設など)

写真は定期的に追加・更新することが重要だ。Googleは情報の鮮度を評価基準の一つとしており、長期間更新のないプロフィールは検索順位が下がる傾向がある。月に1回は新しい写真を追加する習慣をつけよう。

基本情報の正確性を徹底する

営業時間、定休日、電話番号、所在地――これらの基本情報に誤りがあると、せっかく検索で見つけてもらっても「行ったら休みだった」「電話がつながらなかった」という最悪の体験を与えてしまう。

特に注意したいのが、年末年始やGW、お盆などの特別営業時間だ。Googleビジネスプロフィールには「特別営業時間」を設定する機能があるので、必ず事前に登録しておこう。

投稿機能で鮮度を保つ

Googleビジネスプロフィールには、最新情報やイベント、キャンペーンを投稿できる機能がある。週1回程度のペースで、以下のような投稿を行うと効果的だ。

  • 新着物件のハイライト紹介
  • 地域のイベント情報や生活に役立つ豆知識
  • スタッフ紹介や店舗の取り組み
  • 季節に応じた引っ越しのアドバイス

投稿にはリンクボタンを設置できるため、自社ホームページや物件紹介ページへの導線としても活用できる。情報発信を継続することで、Googleからの評価(検索順位)と顧客からの信頼の両方を高められるのだ。


地域密着型不動産会社が口コミ戦略で差をつけるために

「星3.7以上」を最初の目標に設定する

各種の調査データを総合すると、Googleビジネスプロフィールの星評価が3.5以下の場合、約75%のユーザーがネガティブな印象を持つとされている。逆に、星3.7以上を維持できれば、来店率やアクション率の顕著な向上が期待できる。

まずは星3.7以上を最低ラインとし、中長期的には4.0〜4.3を目指すロードマップを描こう。

競合分析を定期的に行う

自店舗のGoogleビジネスプロフィールだけでなく、同エリアの競合店舗の口コミ状況も定期的にチェックしよう。「○○市 不動産」で検索し、ローカルパックに表示される上位3店舗の口コミ件数・評価・返信状況を把握しておくことが重要だ。

競合より口コミ件数が少なければ、獲得ペースを上げる。競合が返信をしていなければ、丁寧な返信で差別化する。こうした「相対的なポジション」の意識が、地域No.1への近道となる。

SNSとの連携で口コミの連鎖を生む

RSC調査では、住まい探しの際にSNSを利用する消費者も増加しており、YouTubeやInstagramが信頼できる情報源としてランクインしている。

Googleビジネスプロフィールで得た好意的な口コミを、自社のSNSで「お客様の声」として紹介する(投稿者の許可を得た上で)。あるいは、SNSで物件紹介や地域情報を発信し、そこからGoogleビジネスプロフィールへの口コミ投稿を促す。このように、複数のチャネルを循環させることで、口コミの好循環が生まれる。


フランチャイズ加盟で口コミ戦略を加速させる

ここまで述べてきた口コミ管理戦略は、どの不動産会社でも取り組める施策だ。しかし、日々の営業・契約業務に追われる中小不動産会社にとって、MEO対策や口コミ管理まで手が回らないという声は少なくない。

こうした課題を解決する一つの選択肢が、不動産フランチャイズへの加盟だ。

ハウスコムは1998年の設立以来、賃貸仲介業をコア事業として約200店舗の直営店を展開してきた実績を持つ。フランチャイズ加盟店に対しては、ブランド力を活かした集客支援、業務システムの提供、定期的なベンチマークセミナーの開催など、多角的なサポートを行っている。

特に地域密着型の不動産会社にとって、全国ブランドの看板を活用できることは口コミ戦略においても大きなアドバンテージだ。消費者は「知っている名前の会社」に安心感を覚えやすく、それが口コミ投稿のハードルを下げることにもつながる。

また、フランチャイズ本部が主催する会合やセミナーでは、口コミ対策を含むデジタルマーケティングの最新ノウハウが共有される。他の加盟店の成功事例から学びを得られる点も、独立経営にはないメリットだ。


まとめ:口コミは「蓄積型の無形資産」

最後に、本記事の要点を整理しよう。

消費者の不動産会社選びにおいて、口コミの重要性は年々高まっている。RSCの2025年調査では、口コミが不動産会社を選ぶ際の特に重視するポイントとして第2位に浮上し、問い合わせ社数は過去11年で最多を記録した。消費者は複数の会社を比較検討し、口コミを判断材料にしている。

Googleビジネスプロフィールは無料で利用でき、適切に運用すれば大手不動産ポータルサイトの検索結果よりも上位に表示される強力な集客ツールだ。口コミの獲得、返信、そしてプロフィール全体の最適化を一体的に進めることで、地域内での認知度と信頼性を飛躍的に高められる。

大手不動産ポータルサイトへの広告投資は、掲載をやめた瞬間に効果がゼロになる。しかし、Googleビジネスプロフィールに蓄積された口コミは「無形資産」として残り続け、長期にわたって集客効果を発揮する。

口コミ対策に「遅すぎる」はない。だが、「早く始めた者が勝つ」のもまた事実だ。今日から、あなたの店舗のGoogleビジネスプロフィールを開いてみてほしい。そこに映る情報と口コミは、消費者があなたの会社に抱く第一印象そのものなのだから。