「伝わらない説明」が契約を逃す? 専門用語ゼロで物件の魅力を120%届ける接客テクニック

不動産賃貸仲介の現場で、こんな経験はないだろうか。物件の魅力を一生懸命に伝えたのに、お客様の表情がどこか曇っている。「徒歩○分、RC造、1LDK、南向き、築浅」——正確な情報を並べたはずなのに、なぜか響かない。実は、その原因は「伝え方」にある。不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に実施した利用者意識アンケートでは、消費者が不動産会社に求めるものとして「物件に対する詳細な説明力」が上位にランクインし、前年から大幅に増加している。つまり今、お客様が求めているのは「正確な情報」だけではなく、自分の暮らしに引きつけて理解できる、わかりやすい説明なのだ。本記事では、初めて部屋探しをする顧客にも「なるほど、この物件いいかも」と思ってもらえる、専門用語を使わない物件説明の具体的テクニックを徹底解説する。


Table of Contents

なぜ今、「わかりやすい物件説明」が求められているのか

消費者の行動が変わった——比較検討の時代へ

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の「不動産情報サイト利用者意識アンケート」(2025年)によると、賃貸物件を契約するまでに消費者が問い合わせた不動産会社数は平均3.3社で、2015年以降で最多を記録した。問い合わせた物件数も平均5.8件と、前年から約1.7件増加し、こちらも過去最多水準に達している。

この数字が意味するのは明快だ。消費者は以前にも増して「比べて選ぶ」時代に入っている。複数の不動産会社に問い合わせ、複数の物件を天秤にかけ、最も納得できる一社・一物件を選ぶ。その選別の基準として、物件の条件だけでなく「説明のわかりやすさ」や「丁寧な対応」が大きなウエイトを占めるようになっているのだ。

「説明力」が不動産会社の選ばれる理由になっている

同アンケートのP13では、消費者が不動産会社に求めるものについて詳しく調査されている。全体のトップは「丁寧・親切な対応」、次いで「正確な物件情報の提供」、そして「物件に対する詳細な説明力」が上位に並ぶ。注目すべきは、この「物件に対する詳細な説明力」の回答割合が前年から大きく伸びている点だ。

さらに「特に重要なもの」として単一回答で聞いた結果でも、「物件に対する詳細な説明力」は高い順位を維持している。とりわけ賃貸においては「丁寧・親切な対応」が最重要とされる一方で、売買では「正確な物件情報の提供」「物件に対する詳細な説明力」への期待が前年から10ポイント以上増加するなど、物件説明の質に対する要求水準が明確に上がっている。

つまり、物件の説明がうまい会社が選ばれ、下手な会社は選ばれない——この構図がデータとして裏付けられたといえる。

初心者顧客が増えている背景

大手不動産ポータルサイトの普及により、部屋探しの入口は大きく変わった。かつては不動産会社の店舗に足を運ぶところから始まっていた住まい探しが、今ではスマートフォンで物件情報を検索し、気に入った物件について問い合わせるスタイルが主流だ。

これにより、初めて賃貸物件を探す学生や新社会人、あるいは久しぶりに引っ越しをする方など、不動産の専門知識を持たない層が直接問い合わせてくるケースが増えている。こうした「初心者顧客」にとって、不動産業界で日常的に使われる専門用語は、外国語のように聞こえることもある。


「伝わらない」原因はどこにあるのか——専門用語の落とし穴

業界の”当たり前”は顧客の”初めて”

不動産賃貸仲介の現場では、日々の業務の中で「RC造」「重説」「原状回復」「善管注意義務」といった用語が飛び交う。経験を積んだ営業担当者にとっては空気のような言葉だが、初めて部屋探しをするお客様にとっては、一つひとつが理解のハードルになる。

たとえば「RC造」という言葉。業界人であれば「鉄筋コンクリート造で、遮音性や耐火性に優れた構造」とすぐに理解できる。しかし顧客にとっては、アルファベット2文字だけでは何のことかわからない。「このマンションは鉄筋コンクリートで建てられているので、隣の部屋の生活音がほとんど聞こえません。鉄骨や木造の建物と比べると、静かに暮らせるのが大きな特長です」——こう言い換えるだけで、情報の伝わり方はまるで変わる。

よくある「伝わらない」用語ワースト10と言い換え例

現場で特に伝わりにくい用語と、その言い換え例を整理してみよう。

1. ユニットバス(UB) 「お風呂とトイレが一緒のことでしょ?」と誤解されがちな代表格。正確には「壁・天井・床が一体成型された浴室」を指す。2点ユニット(浴室と洗面台が一体)と3点ユニット(浴室・洗面台・トイレが一体)の違いを、写真を見せながら説明するのが効果的だ。言い換え例:「お風呂場の造りの種類のことです。この物件はお風呂とトイレが別々になっているタイプですよ」

2. 敷金・礼金 初めての部屋探しでは、この2つの違いがわからないお客様は少なくない。言い換え例:「敷金は、退去するときに部屋を元の状態に戻すための”預かり金”です。大きな傷や汚れがなければ、一部は返ってきます。礼金は、大家さんへの”お礼のお金”で、こちらは返ってきません」

3. 重要事項説明(重説) 言い換え例:「契約する前に、この部屋の大事なルールや注意点を、資格を持ったスタッフが書面を使って一つずつ説明する手続きです。わからないことがあれば、その場で何でも質問できます」

4. 原状回復 言い換え例:「退去するとき、入居前の状態に近づけることです。ただし、普通に生活していてできた小さな傷や壁の日焼けなどは、基本的にお客様の負担にはなりません」

5. 管理費・共益費 言い換え例:「建物の共用部分、たとえばエントランスの照明や廊下の清掃、エレベーターの維持などにかかる費用を、入居者みんなで分担する月々のお金です」

6. 仲介手数料 言い換え例:「私たち不動産会社がお部屋探しをお手伝いした対価としていただく手数料です。法律で上限が決まっていて、家賃の1か月分+消費税が上限になります」

7. 築年数 言い換え例:「この建物が完成してからの年数です。ただし、途中で大規模なリフォームや修繕をしている場合もあるので、建物の状態は実際に見て判断するのがおすすめです」

8. 定期借家契約 言い換え例:「あらかじめ決められた期間だけ住める契約です。普通の契約と違って、期間が来たら基本的に退去する必要があります。その分、家賃が相場より安く設定されていることもあります」

9. フリーレント 言い換え例:「入居してから最初の1〜2か月、家賃が無料になる特典です。引っ越し費用がかさむ時期にはありがたい仕組みですが、一定期間は住み続ける条件がつくこともあります」

10. 告知事項あり 言い換え例:「この物件について、契約前にお伝えしなければならない特別な情報があるという意味です。具体的な内容は個別にご説明しますので、気になることは何でも聞いてください」


実践テクニック——「専門用語ゼロ」の物件説明をつくる5つのステップ

ステップ1:「暮らしの場面」に置き換えて説明する

物件のスペックを伝えるとき、数字や用語をそのまま読み上げるのではなく、「この部屋で暮らしたらどうなるか」をイメージさせる言葉に変換する。これが最も基本的かつ効果的なテクニックだ。

たとえば「南向き・日当たり良好」という情報。これを「午前中から夕方まで自然光が入るので、照明をつけなくても部屋が明るいです。洗濯物も午前中に干せば、夕方にはしっかり乾きますよ」と伝えれば、お客様は自分の生活シーンを頭の中で描くことができる。

「駅徒歩5分」なら、「朝、家を出てから改札に着くまで5分ほどです。信号が1つあるので、急いでいるときは6分くらい見ておくと安心です」と、実際の通勤シーンに落とし込む。

ステップ2:「比較」で理解を助ける

人は、絶対的な情報よりも「比較」によって物事を理解しやすい。広さの説明は、その典型だ。

「25平米です」だけでは、初心者にはピンとこない。「一人暮らし向けの標準的な広さで、ダブルベッドを置いても、横にデスクと椅子を置けるくらいのスペースがあります」「コンビニの店内とほぼ同じくらいの広さ、と考えるとイメージしやすいかもしれません」——こうした身近なものとの比較が、数字だけでは伝わらない「実感」を生む。

階数の説明も同様だ。「3階です」ではなく、「3階なので、外からの視線はほぼ気になりません。エレベーターがない物件ですが、毎日の階段は運動にもなりますし、宅配便の方も問題なく届けてくれる高さです」と、メリット・デメリットを生活目線で伝える。

ステップ3:「なぜその条件がいいのか」理由をセットで伝える

「角部屋です」「最上階です」「ペアガラスです」——これらは物件のメリットだが、初心者にはなぜメリットなのかがわからない場合がある。

「角部屋なので、隣の部屋と接する壁が1面だけです。つまり、隣からの生活音が聞こえにくくなります」「最上階なので、上の階の足音が気にならないのが大きなメリットです」「窓ガラスが二重になっているので、外の音が入りにくく、冬は結露もしにくいです。冷暖房の効きもよくなるので、光熱費の節約にもつながります」

このように「条件+理由+暮らしへの影響」の3点セットで説明すると、お客様は自分にとってその条件がどれだけ価値があるかを判断できるようになる。

ステップ4:「デメリットも正直に、でもフォローとセットで」

信頼を勝ち取る最短ルートは、デメリットを隠さないことだ。RSCのアンケートでも、不動産会社の対応で不満だったこととして「情報に虚偽があり信頼性に欠けた」が挙がっている。一方、満足だったこととして「情報正確で誠実な対応だった」が上位に入っている。

たとえば1階の物件なら、「確かに防犯面やプライバシーの点では、上層階と比べると気になるポイントです。ただ、この物件はオートロック付きで、窓にはシャッターがついています。また1階のメリットとして、引っ越しの搬入が楽なことや、下の階への足音を気にしなくていいことがあります」と、デメリットを認めたうえで具体的な対策やメリットを提示する。

この「正直さ+フォロー」の組み合わせが、顧客の信頼を最も強固にする。

ステップ5:「質問しやすい空気」をつくる

どんなにわかりやすく説明しても、お客様が本当に理解しているかどうかは本人にしかわからない。大切なのは、説明の合間に「ここまでで気になるところはありますか?」「わかりにくい言葉があったら遠慮なく聞いてくださいね」と声をかけ、質問しやすい雰囲気をつくることだ。

特に初めての部屋探しのお客様は、「こんなことを聞いたら恥ずかしいのでは」と遠慮してしまいがちだ。営業担当者の側から積極的に「壁」を取り除く姿勢が、結果として成約率の向上につながる。


物件案内の場面別・説明テクニック集

電話・メールでの問い合わせ対応

最初の接点である問い合わせ段階では、お客様の知識レベルがわからない。そのため、最初は専門用語を一切使わず、相手の反応を見ながらレベルを合わせていくのが鉄則だ。

メールの返信では、物件概要を箇条書きにする際にも「RC造」ではなく「鉄筋コンクリート造(隣の部屋の音が聞こえにくい構造)」と補足を添える。たった一言の補足が、「この会社は親切だ」という第一印象を形成する。

内見時の説明

内見は、五感を使って物件を体験してもらえる貴重な機会だ。ここでは「体感型の説明」が威力を発揮する。

「この壁、叩いてみてください。コンコンと硬い音がしますよね。これがコンクリートの壁の音です。隣の部屋との間がこの壁なので、テレビの音や話し声はほとんど聞こえません」——実際に手で触れ、耳で確かめることで、「遮音性が高い」という抽象的な情報が、リアルな実感に変わる。

窓を開けて周辺環境を確認するのも効果的だ。「ここから見えるのが最寄りのスーパーです。仕事帰りに寄るのにちょうどいい距離ですね」と、生活動線を一緒にたどる。

契約時の説明

重要事項説明の場面は、最も専門用語が多くなる局面だ。法律上の正式な用語を使う必要がある一方で、お客様の理解を置き去りにしてはならない。

おすすめのテクニックは「二段階説明」だ。まず正式な用語で読み上げたあと、「これは簡単に言うと○○ということです」と平易な言葉で言い直す。たとえば「抵当権が設定されています」と読み上げたあとに、「これは大家さんがこの物件を担保にしてお金を借りていますよ、という情報です。お客様の日々の生活には基本的に影響ありません」と補足する。


「説明力」を組織の武器にするための仕組みづくり

個人のスキルに頼らない——チーム全体の底上げ

物件説明のわかりやすさを、特定の営業担当者の個人技に留めておくのはもったいない。店舗全体の接客品質を引き上げるための仕組みを整えることが、安定した成約率と顧客満足度につながる。

具体的には、以下のような取り組みが効果的だ。

「言い換え辞書」の作成と共有がまず挙げられる。よく使う専門用語50〜100個について、顧客向けの言い換え表現をまとめたシートを作成し、全スタッフで共有する。新人研修の教材としても活用でき、店舗の接客品質の標準化に貢献する。

次に、ロールプレイング研修の実施だ。「初めて部屋探しをする大学生」「子育て世帯の奥様」「転勤で急いでいるビジネスパーソン」など、ペルソナを設定してロールプレイを行う。録画して振り返ることで、無意識に使っている専門用語を発見できる。

さらに、顧客アンケートの活用も重要だ。内見後や契約後に「説明のわかりやすさ」についてフィードバックをもらい、定期的に改善点を洗い出す。RSCの調査でも、満足度の高い項目として「言葉遣いや対応が丁寧だった」が上位に入っており、説明力は顧客満足に直結する要素だといえる。

テクノロジーを味方にする

物件説明の質を高めるツールとして、テクノロジーの活用も見逃せない。VR内見やオンライン内見は、物件の雰囲気を遠隔地のお客様にも伝えられる手段として急速に普及している。RSCの調査では、住まい探しの際に使ってみたい非対面型サービスとして「IT重説」がトップに立ち、「オンライン契約」の利用ニーズも3年連続で増加している。

こうしたデジタルツールを導入する際にも、「わかりやすい説明」の意識は変わらない。画面越しでの説明は、対面以上に言葉の選び方が重要になる。画面上で物件の間取り図を共有しながら「ここがリビングで、こちらがキッチンです。キッチンからリビングが見渡せるので、お子さんがいるご家庭でも安心です」と、指さしながら説明する工夫が求められる。


フランチャイズの力で「説明力」を加速させる

一社だけでは難しいことがある

ここまで紹介してきた説明テクニックや仕組みづくりは、理想論としては理解できても、一社だけで体系的に構築・維持していくのは容易ではない。特に中小規模の不動産会社では、日常の営業活動と並行して研修プログラムを開発し、マニュアルを整備し、最新のトレンドをキャッチアップし続けることは、大きな負担になりかねない。

ここにフランチャイズという選択肢が浮上する。

ハウスコムFCが提供する「接客力向上」の支援

ハウスコムは、1998年の設立以来、賃貸仲介業をコア事業として約200店舗の直営店を展開してきた実績を持つ。その25年以上にわたる現場経験から蓄積されたノウハウは、加盟店にも惜しみなく共有されている。

たとえば、本部主催のベンチマークセミナーでは、直営店で実際に成果を上げている接客テクニックや物件説明の手法が具体的に共有される。他の加盟店のリアルな実践事例も定期的に共有されるため、「自社だけでは気づかなかった改善ポイント」を発見できる機会が豊富にある。

また、ハウスコムFCでは大手不動産テック企業の基幹システムを採用し、コンバータ・顧客管理・契約管理の3点セットを提供している。これらのシステム利用料はロイヤリティに含まれるため、別途のコスト負担なく、業務効率化と接客品質の向上を同時に実現できる。

加えて、本部スタッフが定期的に加盟店を巡回し、経営課題の相談に対応する体制が整っている。「物件説明の質を上げたい」「スタッフの接客スキルにバラつきがある」といった悩みに対しても、豊富な引き出しの中から具体的な解決策を提示してくれる。

ブランド力が「信頼の下地」をつくる

RSCの調査が示すとおり、消費者が不動産会社を選ぶ際に「不動産会社に対する口コミ情報」を重視する傾向は年々強まっている。いくら説明がわかりやすくても、そもそも問い合わせが来なければ活かす場がない。

ハウスコムというブランドは、特に関東・東海・近畿の三大都市圏で高い認知度を誇る。このブランド力は、消費者にとって「名前を知っている会社なら安心」という信頼の下地をつくり、問い合わせのハードルを下げる効果がある。ブランドの力で集客し、わかりやすい物件説明で成約につなげる——この好循環を生み出せるのが、フランチャイズ加盟の大きな利点だ。


まとめ——「伝わる説明」が未来の契約をつくる

不動産賃貸仲介業において、物件説明の質は「あれば良い」というオプションではなく、もはや競争優位の核心になりつつある。消費者は複数の会社を比較し、より丁寧で、よりわかりやすく、より誠実な対応をしてくれる会社を選ぶ。

専門用語を排し、暮らしの場面に置き換えて伝える。比較で実感を持たせる。デメリットも正直に伝えたうえでフォローする。そして、質問しやすい空気をつくる。これらは特別な才能がなくても、意識と仕組みで実践できるテクニックだ。

一社の努力だけでは限界があると感じたとき、フランチャイズという選択肢が、組織全体の「説明力」を一段引き上げてくれる。25年以上の実績に裏打ちされたハウスコムFCのノウハウと支援体制は、物件説明の質を高め、顧客満足度と成約率の双方を向上させる強力な武器になるだろう。

「伝え方」を変えるだけで、同じ物件でもお客様の反応は劇的に変わる。今日の接客から、ぜひ一つでも試してみてほしい。