【反響1.8倍も】プロが教える物件撮影のコツ15選|スマホ1台で「選ばれる写真」を撮る方法

「同じ物件なのに、あの会社だけ反響が多い」——そんな経験はないだろうか。賃貸仲介の現場でしばしば耳にするこの声の裏には、ひとつの明確な事実がある。物件写真の質が、反響数を決定づけているのだ。

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2024年に実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」によると、ユーザーが不動産会社を選ぶ際のポイントとして「写真の点数が多い」を挙げた人は全体の72.1%にのぼり、堂々のトップ。2位の「他にもたくさんの物件を掲載している」(38.2%)に30ポイント以上の大差をつけている。写真は”あったほうがいい情報”ではなく、”なければ選ばれない条件”なのだ。

さらに注目すべきは、3位に「部屋の雰囲気が分かる動画が付いている」(35.1%)が前年5位から急上昇してランクインした一方で、「店舗がアクセスしやすい場所にある」(34.8%)は減少していること。つまり、ユーザーの関心は店舗の立地から物件情報の質へと明確にシフトしている。

本記事では、大手不動産ポータルサイトで”選ばれる物件写真”を撮るためのテクニックを、機材選びから撮影手順、編集・掲載戦略まで網羅的にお伝えする。スマホ1台から実践できる内容に絞っているので、今日の撮影から即活用できるはずだ。


Table of Contents

なぜ今、物件写真の質が「勝負の分かれ目」なのか

オンラインが”第一内見”になった時代

スマートフォンでの物件探しがもはや標準となり、ユーザーが不動産情報を調べる際にスマホを使う割合は90%を超えている。画面の小ささゆえに、テキスト情報よりも写真に目が集中しやすく、指先でピンチアウトしてディテールを確認する行動が当たり前になった。

人間が外部から取得する情報のうち、約9割は視覚を通じたものだと言われる。物件写真は、ユーザーが「この部屋を見てみたい」と感じる最大のトリガーであり、いわばオンライン上の”第一内見”なのだ。

ある不動産会社の事例では、中古マンションのリビングを広角レンズで午前10時の自然光を活かして撮影したところ、大手不動産ポータルサイト掲載初週の問い合わせ件数が従来比1.8倍に増加したという。担当者は「光とレンズの使い方だけでここまで変わるとは」と驚きを語っている。

写真の質が”PV反響率”を左右する

反響獲得のプロセスを分解すると、「掲載物件が検索結果に表示される」→「ユーザーがクリックする」→「物件詳細ページを閲覧する」→「問い合わせる」という流れになる。この中で、最初のクリック率と最後の問い合わせ率の両方に影響を与えるのが物件写真だ。

実務の現場では「100PVに対して1件の反響があれば平均的」という基準が使われることが多い。しかし、平均を大きく超えるPVがあるにもかかわらず反響がゼロという物件は、掲載内容、とりわけ写真のクオリティに課題を抱えているケースが大半だ。画像が暗い、枚数が足りない、間取りが伝わらない、コメントで魅力づけができていない——こうした要素が、せっかくのアクセスを取りこぼす原因となっている。

逆に言えば、写真の改善だけで反響率が1.5倍に跳ね上がった事例も少なくない。広告費を追加で投入する前に、まず撮影技術の見直しに着手するほうが、はるかに費用対効果が高いのだ。


物件撮影の前にやるべき3つの準備

撮影技術以前に、「準備の質」が写真のクオリティを決めるといっても過言ではない。物件に到着してから「あれがない」「ここが汚い」と慌てるのは最大の時間ロスだ。

準備①|撮影チェックリストを作る

忘れ物があると店舗に戻るはめになり、時間を無駄にするだけでなく、最適な光の時間帯を逃すリスクも生じる。以下を参考に、自社独自のチェックリストをつくっておくとよい。

必ず持参したいもの:スマートフォン(充電満タン)、スマホ用三脚またはミニ三脚、クリーニング用クロス、スリッパ、懐中電灯(暗所確認用)、メジャー、広角レンズアタッチメント(スマホの場合)。

準備②|物件の清掃と整理整頓

リフォーム済みやクリーニング済みの物件でも、床のゴミや階段のホコリ、水回りの水垢は要チェック。収納スペースがあれば必ず扉を開けて中身が見える状態にしておく。ちょっとしたゴミひとつが、写真全体の清潔感を損なう。

準備③|物件のセールスポイントを事前に把握する

撮影を始める前に、「この物件のアピールポイントは何か」を考えることが極めて重要だ。「空間の広さを見せる写真」と「設備の充実度を見せる写真」を意識的に撮り分けるためには、事前にターゲットを明確化しておく必要がある。

ファミリー層がターゲットなら水回りの清潔感やキッチンの広さ、単身者なら収納スペースやテレワーク対応の間口。ターゲットが見たい情報を最優先で撮影する——この意識だけで、写真のセレクトの質が格段に変わる。


【外観編】建物の第一印象を決める撮影テクニック5選

テクニック①|「斜め」から撮って立体感を出す

建物を正面からまっすぐ撮ると、どうしても平面的な印象になる。建物の正面と側面が「7:3」程度の比率で収まるよう、斜めの位置から撮影するのがセオリーだ。奥行きと立体感が生まれ、建物の規模感が伝わりやすくなる。

テクニック②|「順光」で撮影する

太陽を背にした「順光」の状態で撮ることが鉄則。逆光では空が白飛びし、建物全体が暗くなって日当たりの悪い印象を与えてしまう。撮影に最適な時間帯は午後2時〜3時頃。季節によって多少前後するが、この時間帯は自然光がバランスよく差し込み、建物の色味も鮮やかに映る。

テクニック③|青空を「2〜3枠分」入れる

写真を9分割したグリッド線を表示し、上部の2〜3枠分に青空が入り、残りに建物と周辺環境が収まるように構図を調整する。晴天の青空を背景に入れるだけで、物件全体の印象が明るくなり、「住みたい」と感じさせる写真に仕上がる。

テクニック④|広角レンズで全体を収める

建物全体が収まらない場合、ローアングル(しゃがんで見上げる角度)で撮影すると迫力と重厚感が出る。スマホの広角モード(iPhone 11以降に搭載)を活用すれば、さらに広い範囲を自然に収めることが可能だ。

テクニック⑤|周辺環境も忘れずに

建物の写真に加え、最寄り駅、コンビニ、スーパー、病院など周辺施設の写真も撮っておく。とくに「自分のライフスタイルに合う街かどうか」を判断したいユーザーにとって、周辺環境写真は意思決定の大きな後押しになる。ターゲットがファミリーなら公園や学校、単身者ならファーストフード店やドラッグストアなど、想定する入居者のライフスタイルに合わせた施設を選んで撮影しよう。


【室内編】部屋を「広く・明るく・美しく」見せるテクニック7選

室内写真は、物件の印象を最も大きく左右する。大手不動産ポータルサイトのユーザーが最も見たい情報として「間取り/間取り図の写真」が毎年トップクラスにランクインするのも当然だろう。ここで紹介する7つのテクニックを押さえれば、スマホ1台でもプロに近い仕上がりが期待できる。

テクニック⑥|「対角線撮影」で空間を最大化する

部屋の角(四隅)に立ち、対角線方向にカメラを向ける——これが室内撮影の基本中の基本だ。対角線方向に撮影すると、画角(映り込む範囲)が最大化され、実際の部屋よりも広々とした印象になる。

正方形に近い部屋は対角線方向を、長方形の部屋は短辺側の端から窓に向かって撮影する。もし部屋全体が収まらなければ、廊下や隣の部屋、さらにはクローゼットの中に体を入れて距離を稼ぐのもプロの現場では一般的なテクニックだ。

テクニック⑦|水平・垂直を死守する

壁の縦線が傾いていたり、天井のラインが斜めになっていたりするだけで、写真全体が不安定な印象を与え、素人っぽさが際立ってしまう。iPhoneであれば「設定」→「カメラ」から「グリッド」と「水平」をオンにすると、撮影中に水平・垂直を常時確認できるようになる。柱や壁の縦線がグリッドと平行になるよう意識するだけで、写真のクオリティは劇的に向上する。

テクニック⑧|「膝立ち」の高さで撮影する

よくあるミスが、立ったままの目線で斜め下に向かってシャッターを切ること。これでは天井が狭く、床面積が小さく映ってしまう。膝をついた高さ(地面から80〜100cm程度)で、カメラを水平に構えて撮影するのが正解だ。この高さからの撮影は、実際に部屋で暮らすときの目線に近く、ユーザーが自然に「住んでいる自分」をイメージしやすくなる。

テクニック⑨|自然光+照明のダブル使い

室内撮影の理想は、晴れた日の午前中〜15時頃。窓から差し込む自然光を活かしつつ、室内の照明もすべて点灯する。「どうせ日光が入るから」と照明を消す方がいるが、照明を点けたほうが空間の陰影が柔らかくなり、実際の暮らしのイメージが伝わりやすい。

逆光で暗くなりがちな場合は、スマートフォンの露出補正機能を使う。iPhoneであれば画面の暗い部分をタップし、表示される太陽マークを上にスワイプして明るさを持ち上げる。ほんの1〜2段の補正で、見違えるほど明るい写真が撮れる。

テクニック⑩|広角モードを「賢く」使う

最近のスマートフォンには広角カメラが搭載されている(iPhone 11以降、Android各機種による)。室内撮影では必ず広角モードを使いたいが、注意点がひとつある。広角レンズは画面の端に歪みが生じやすく、部屋の印象が実物と大きく異なってしまう場合があるのだ。

対策は2つ。まず、ワイド端(最も広角の設定)ではなく、少しズームを戻した位置で撮ること。もうひとつは、撮影後にスマートフォンの写真編集機能やアプリで歪みを補正すること。プロのカメラマンでさえ歪み補正をしてから納品しているので、遠慮なく修正して構わない。

広角カメラが搭載されていない機種を使っている場合は、100円ショップで手に入るクリップ式広角レンズが意外な救世主になる。110円で、室内全体が映る広々とした写真を撮影できるようになるのだから、投資対効果は絶大だ。

テクニック⑪|設備のディテールも撮り逃さない

リビングや洋室の全景写真だけでは不十分だ。キッチンのコンロの数やシンクの広さ、浴室の棚やシャワーヘッド、トイレのウォシュレット、収納スペースの奥行き——こうしたディテールをしっかり撮影してはじめて、ユーザーは「この部屋で暮らす自分」を具体的にイメージできる。

特に水回りは、ファミリー層・単身者問わず注目度が高い。キッチン全体を1枚で撮った後に、コンロまわり、シンクまわり、収納引き出しの中、といった具合に部分写真を2〜3枚追加するだけで、情報の密度がまったく違ってくる。

テクニック⑫|収納は「開けて」撮る

クローゼット、シューズボックス、パントリー——収納スペースは、扉を閉じたまま撮影しても何も伝わらない。必ず扉を開けた状態で撮影し、奥行きや段数がわかるようにする。収納の充実度は、とくに単身者や小さな子どもがいるファミリー層にとって物件選びの重要な判断材料だ。


撮影後に差がつく「編集と掲載」のポイント

明るさとコントラストの微調整

撮影したままの状態で掲載している会社は、それだけで機会損失している可能性がある。スマートフォンの標準写真アプリで、明るさ、コントラスト、ホワイトバランスを微調整するだけでも写真の印象は大きく変わる。ただし、電柱や電線、高圧送電線などを画像加工で消去することは不当表示に該当する可能性があるため、絶対に避けること。

掲載枚数は「多いほど有利」

大手不動産ポータルサイトの掲載上限が許す限り、できるだけ多くの写真を掲載するのが基本戦略だ。前述のRSCアンケートでも、ユーザーが不動産会社を選ぶポイントの第1位は「写真の点数が多い」であり、この傾向は過去数年間にわたってトップを維持し続けている。

大手不動産ポータルサイトでは複数の不動産会社が同一物件を掲載した場合、相対的に評価の高い広告だけが検索結果一覧に表示される仕組みを採用していることが多い。写真の枚数や質を高めることは、この「代表物件」を獲得する確率を高めることにも直結する。

1枚目の「サムネイル」が勝負

検索結果の一覧画面でユーザーの目に最初に入るのが、1枚目のサムネイル写真だ。ここで興味を引けなければ、詳細ページへのクリックすら得られない。1枚目には、最も明るく広々とした印象の室内写真か、青空を背景にした外観写真を設定する。暗い写真や狭く見える構図を1枚目に設定するのは、絶対に避けるべきだ。

スマホ画面を意識した縦構図の活用

ユーザーの9割以上がスマートフォンで物件を閲覧する時代だ。従来は横構図が物件写真の基本とされてきたが、キッチンや浴室などの設備写真では縦構図のほうがスマホ画面上で全体が収まりやすく、視認性が向上する。全景は横構図、設備ディテールは縦構図——と使い分けるのが、今の時代に合った掲載戦略だ。


さらに差をつける”上級テクニック”

テクニック⑬|動画・360°パノラマの活用

RSCの2024年調査では、「部屋の雰囲気が分かる動画が付いている」が不動産会社選びのポイントとして前年5位から3位に急上昇した。VR内見とまではいかなくても、スマートフォンで30秒〜1分程度のウォークスルー動画を撮影し、ポータルサイトに添付するだけで差別化につながる。

360°パノラマ撮影が可能なアプリも登場しており、AIが自動で明度・彩度を最適化してくれるものもある。こうしたテクノロジーを積極的に取り入れることで、少ない手間で大きな成果を出すことができる。

テクニック⑭|デジタルホームステージング

空室の写真は、どうしても殺風景な印象を与えがちだ。近年はデジタルホームステージングと呼ばれる手法が普及しつつあり、撮影した空室写真にバーチャルの家具やインテリアをAIで配置するサービスが数多く登場している。実物のステージング(1物件あたり数万円〜十数万円)に比べて圧倒的に低コストで、画像1枚あたり数千円程度から導入できる。ある不動産会社では、このデジタルホームステージングを導入した物件の閲覧数が約1.5倍に増加したという報告もある。

テクニック⑮|「セールストーク」としての写真を意識する

物件写真は「きれいに撮ること」が目的ではない。写真1枚1枚が、ユーザーに対する「セールストーク」だという意識を持つことが重要だ。

「このキッチンなら料理が楽しくなりそう」「この収納ならモノがすっきり片付きそう」——ユーザーの心にそういった感情を喚起する写真こそが、反響につながる写真なのだ。たとえば1階の物件で防犯面が気になる場合でも、「小さなお子様やご高齢の方も出入りしやすい」という別の視点を写真のアングルで表現する。マイナス面をカバーしつつ、プラスの印象を与える。これができるかどうかが、トップ営業マンと平均的な営業マンの分かれ目でもある。


撮影チェックリスト|現場で使える”早見表”

最後に、物件撮影時にそのまま使えるチェックリストを掲載する。スマートフォンのメモアプリにコピーして、撮影前にひととおり確認してほしい。

外観:順光の時間帯か/斜めから撮ったか/青空が2〜3枠分入っているか/広角モードを使ったか/通行人や駐車車両が写り込んでいないか

室内(全景):対角線方向から撮ったか/水平・垂直は保たれているか/膝立ちの高さで撮ったか/照明はすべて点灯しているか/窓から自然光が入る時間帯か

室内(設備):キッチン全体+コンロ・シンクのアップ/浴室全体+設備アップ/トイレ全体+ウォシュレットのアップ/収納は扉を開けた状態で撮ったか

周辺環境:最寄り駅/コンビニ・スーパー/学校・公園(ファミリー向け)/飲食店(単身者向け)

編集・掲載:明るさ・コントラストを調整したか/掲載枚数は上限に近いか/1枚目のサムネイルは最もインパクトのある写真か


まとめ|写真は「最もコスパの高い営業ツール」

物件写真のクオリティ向上は、追加の広告費ゼロで実現できる、最もコストパフォーマンスの高い反響獲得施策だ。特別な機材がなくとも、この記事で紹介した15のテクニックをひとつずつ実践するだけで、写真の質は確実に変わる。そして写真の質が変われば、クリック率が変わり、反響数が変わり、成約が変わる。

一方で、こうした撮影テクニックの導入・標準化は、個人のスキルに依存しがちという課題も残る。店舗全体で撮影品質を安定させるには、ノウハウの体系化と教育の仕組みが不可欠だ。

ハウスコムフランチャイズでは、設立から25年以上にわたって賃貸仲介業のノウハウを蓄積してきた本部が、加盟店に対して反響獲得や集客力向上のための実践的なサポートを提供している。業務システムの導入支援はもちろん、ベンチマークセミナーを通じて直営店で培われたリアルなノウハウを共有する体制が整っており、写真撮影に限らず店舗運営全般における「引き出しの多さ」は大きな強みだ。

「写真の質を上げたいが、何から手をつければいいかわからない」「店舗全体のスキルを底上げしたい」——そうした課題を抱えている方にとって、フランチャイズ本部の知見は一考に値するだろう。

物件写真は、最も身近で、最も効果的な営業ツールだ。今日の撮影から、ぜひ1つでも新しいテクニックを取り入れてみてほしい。その1枚が、次の反響を連れてくるかもしれない。