【2025年最新】5社以上に問い合わせる顧客は21%──「比較される時代」に選ばれる不動産仲介会社の勝ち筋とは

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年10月に発表した最新調査で、ある衝撃的な数字が明らかになった。賃貸物件を探す顧客のうち、**「5社以上」に問い合わせをする層が全体の21.0%**に達したというのだ。この数字は調査開始以来、過去最多の水準である。
「1社だけに相談して決める」時代は、完全に終わりを告げた。いま、不動産賃貸仲介業者に求められているのは、複数社を比較検討する顧客を確実に取り込む戦略だ。
本記事では、なぜ顧客は5社以上に問い合わせるのか、その心理を読み解くとともに、多数比較層を獲得するための実践的な対策を詳しく解説する。
なぜ今、顧客の比較行動が激化しているのか
過去最多を更新した問い合わせ社数の実態
2025年の調査結果を詳しく見てみよう。賃貸契約者が物件を決めるまでに問い合わせた不動産会社の数は、平均で3.3社。これは2015年以降の11年間で最も多い数字である。
さらに注目すべきは、問い合わせ先の分布だ。
| 問い合わせ社数 | 賃貸契約者の割合(2025年) |
|---|---|
| 1社 | 17.3% |
| 2社 | 19.8% |
| 3社 | 30.9% |
| 4社 | 11.1% |
| 5社 | 13.6% |
| 6社以上 | 7.4% |
「5社」と「6社以上」を合わせた**21.0%**という数字は、前年の6.7%から一気に14ポイント以上も跳ね上がった計算になる。もはや「多数比較層」は少数派ではなく、確実に存在感を増している顧客セグメントなのだ。
売買検討者はさらに比較傾向が顕著
売買物件を検討する顧客においては、この傾向がさらに顕著である。売買検討者の問い合わせ平均社数は3.8社で、「6社以上」に問い合わせる層だけで**17.5%**を占めている。
つまり、約5人に1人が6社以上と接触しているのだ。高額な取引であればあるほど、顧客は慎重に比較検討を重ねる傾向が強まる。
5社以上問い合わせる顧客の心理を徹底分析
では、なぜ顧客はこれほどまでに多くの会社に問い合わせるのだろうか。その背景には、現代の消費者心理を反映した複数の要因が存在する。
1. 情報の非対称性を解消したい
不動産取引は、一般消費者にとって頻繁に行うものではない。そのため、「本当にこの物件でいいのか」「この会社は信頼できるのか」という不安が常につきまとう。
複数社に問い合わせることで、顧客は以下のような情報の非対称性を解消しようとしている。
- 物件情報の確認:他社でも同じ物件が紹介されるのか
- 価格の妥当性:初期費用や仲介手数料に差があるのか
- サービス品質の比較:どの会社が最も丁寧に対応してくれるか
2. 「失敗したくない」リスク回避意識の高まり
2025年の調査では、物件を選ぶ際に気にするポイントとして「災害のリスクが少ない地域である」を重視する傾向が強まっている。
これは物件選びだけでなく、会社選びにおいても「失敗を避けたい」という心理が働いていることを示唆している。複数社に接触し、比較することで、より確実な選択をしたいという欲求が高まっているのだ。
3. 大手不動産ポータルサイトによる情報アクセスの容易化
かつては、複数の不動産会社に問い合わせること自体が手間だった。しかし現在、大手不動産ポータルサイトの普及により、ワンクリックで複数社への問い合わせが可能になっている。
同調査によると、物件情報の鮮度や正確性が信頼できると思う情報源として、「不動産情報サイト」がトップに立っている(全体の61.1%)。顧客はポータルサイトを起点に、効率的に複数社へアプローチしているのだ。
4. 口コミ・評判への依存度上昇
興味深いのは、不動産会社を選ぶポイントとして「不動産会社に対する口コミ情報」が特に重視するポイントの2位にランクインしている点だ。
これは、第三者の評価を参考にしたいという心理の表れである。複数社に問い合わせ、実際の対応を比較することで、口コミ情報の真偽を自分自身で確かめようとしているのだ。
多数比較顧客を獲得する7つの実践戦略
比較検討が当たり前になった今、「選ばれる会社」になるためには、明確な戦略が必要だ。以下に、即座に実行可能な7つの対策を紹介する。
戦略1:初動30分の法則──レスポンススピードで差をつける
調査によると、不動産会社の対応で満足だったこととして、「問合せに対するレスポンスが早かった」が71.5%でトップにランクインしている。
一方で、不満だったこととして「問合せをしたら返答が遅かった」という声も上位に挙がっている。
5社以上に問い合わせる顧客は、当然ながら最初に好印象を与えた会社に流れやすい。問い合わせから30分以内に初回連絡を入れる体制を構築することが、獲得の第一歩となる。
実践Tips:
- 自動返信メールの設定(即時対応を約束するメッセージ)
- 営業時間外の問い合わせに対する翌朝一番の対応ルール
- SMS・LINEなど顧客が返信しやすいチャネルの活用
戦略2:「その物件、もうありません」を撲滅する
不動産会社の対応で不満だったこととして、「問合せをしたら、『その物件はもう無い』と言われた」が上位にランクインしている。これは賃貸において特に顕著だ。
多数比較顧客は、この一言で即座に離脱する可能性が高い。なぜなら、彼らには他に4社以上の選択肢があるからだ。
物件情報の鮮度管理は、もはや「あれば良い」ではなく「なければ致命傷」となっている。
実践Tips:
- 物件データベースのリアルタイム更新体制の構築
- 成約済み物件の即時非公開処理ルールの徹底
- 代替物件を即座に提案できる準備
戦略3:写真の点数で勝負する
不動産会社を選ぶポイントで、「気にするポイント」「特に重視するポイント」の両方で**「写真の点数が多い」がトップ**となった。しかも、この傾向は直近3年で最高値を更新している。
多数比較顧客は、問い合わせ前の段階で写真の充実度で会社を選別しているのだ。
実践Tips:
- 物件1件あたり最低20枚以上の写真掲載
- 室内だけでなく、共用部・周辺環境・日当たりの写真
- 360度パノラマ写真やバーチャル内見の導入検討
戦略4:「丁寧・親切な対応」の標準化
不動産会社に求めるものとして、「丁寧・親切な対応」が全体の68.1%でトップに立っている。これは賃貸・売買を問わず共通した顧客ニーズだ。
しかし、「丁寧・親切」は属人的なスキルに依存しやすい。多数比較顧客を逃さないためには、接客品質の標準化が不可欠である。
実践Tips:
- 顧客対応マニュアルの整備と定期研修
- 接客ロールプレイングの実施
- 顧客アンケートによるフィードバック収集と改善サイクル
戦略5:オンライン対応で利便性を提供する
2025年の調査では、非対面型サービスへのニーズが明確に示されている。
- IT重説:56.7%が「使ってみたい」(賃貸)
- オンライン契約:51.0%が「使ってみたい」(賃貸)
多数比較顧客は、効率的に情報収集したいと考えている。オンライン内見やIT重説に対応していることは、選ばれる理由のひとつになる。
実践Tips:
- オンライン内見システムの導入
- IT重説の実施体制整備
- 電子契約サービスの活用
戦略6:物件情報以外の価値を提供する
調査では、物件情報以外に必要だと思う情報として以下が上位に挙がっている。
- 初期費用・入居費用のシミュレーション情報(68.1%)
- 周辺施設の情報(65.3%)
- 地域の治安(安全さ)(63.9%)
多数比較顧客を獲得するには、物件紹介に留まらない付加価値の提供が差別化要因となる。
実践Tips:
- 初期費用シミュレーターの提供
- 周辺施設マップの作成
- 地域の治安情報・ハザードマップの説明体制
戦略7:検討期間の長期化に対応したフォロー体制
2025年の調査では、住まい探しから契約までにかかった期間が長期化傾向にあることが示されている。賃貸では1ヶ月以上かかった割合が**64.3%**に達し、前年より6ポイント増加した。
多数比較顧客は、じっくり検討するタイプが多い。即決を迫るのではなく、中長期的な関係構築を意識したフォローが求められる。
実践Tips:
- 定期的な新着物件情報の配信
- 検討段階に応じた適切なタイミングでの連絡
- 無理な営業を控えた信頼関係の構築
フランチャイズ加盟という選択肢──ブランド力で多数比較層を制する
多数比較顧客を獲得するためには、上記の施策を自社単独で実施する方法もあるが、フランチャイズへの加盟という選択肢も有効である。
なぜブランド力が重要なのか
調査によると、不動産物件情報の信頼できる情報源として「不動産情報サイト」に次いで**「不動産会社の自社ホームページ」**が2位にランクインしている。
これは、会社のブランドや知名度が信頼性に直結していることを示している。多数比較顧客は、聞いたこともない会社よりも、認知度の高いブランドに問い合わせる傾向がある。
フランチャイズ加盟のメリット
大手フランチャイズに加盟することで、以下のような優位性を獲得できる。
- ブランド認知度の活用:「知っている会社だから」という安心感の提供
- 本部からの反響送客:フランチャイズ本部経由での顧客紹介
- 業務システムの活用:物件情報の鮮度管理、顧客管理システムの提供
- ノウハウの共有:成功事例や接客マニュアルの活用
- 業務支援ツール:初期費用シミュレーターなどの付加価値ツール
特に、中小規模の不動産仲介会社にとって、単独では実現困難な施策を本部のサポートによって実現できる点は大きなメリットだ。
まとめ──「比較される前提」で戦略を組み立てる
2025年、不動産賃貸仲介業界は「多数比較時代」に突入した。顧客の21%が5社以上に問い合わせる現状は、今後さらに加速する可能性が高い。
この環境下で生き残るためには、「比較される前提」で戦略を組み立てる必要がある。
本記事のポイント:
- 賃貸契約者の21%が5社以上に問い合わせ(過去最多)
- 初動30分以内のレスポンスが獲得率を左右する
- 「その物件はもうない」の撲滅が急務
- 写真点数・丁寧な対応・オンライン対応が選定基準
- 物件情報以外の付加価値提供で差別化
- 長期検討顧客へのフォロー体制構築
- フランチャイズ加盟によるブランド力活用も有効な選択肢
多数比較顧客は、適切な対応をすれば確実に獲得できる層でもある。本記事で紹介した施策を参考に、自社の強みを活かした戦略を構築していただきたい。
<参考資料> 不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果(2025年10月27日発表)

