集客の「二刀流」で勝つ──自社公式HPと大手不動産ポータルサイト併用戦略の全技法

「ポータルサイトに掲載しているのに反響が伸びない」「自社HPを持っているが、いまいち活用できていない」──そんな悩みを抱えている不動産賃貸仲介業者は少なくないだろう。
しかし、最新の調査データが示す顧客行動を分析すると、見えてくるのは「どちらか一方」ではなく「両方を戦略的に使い分ける」ことの重要性だ。
本記事では、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」の最新データをもとに、自社公式HPと大手不動産ポータルサイトを効果的に併用するマーケティング戦略を徹底解説する。明日から実践できる具体的なノウハウを余すことなくお伝えしよう。
顧客は「複数の情報源」を使い分けている──最新調査が示す行動変化
信頼される情報源、第2位は「不動産会社の自社HP」
物件を探す顧客は、いったいどこで情報を収集し、何を信頼しているのか。
RSCの調査によると、「不動産物件情報の鮮度や正確性が信頼できる情報源」として、大手不動産ポータルサイトがトップに挙げられている。これは予想通りの結果だろう。
注目すべきは第2位だ。「不動産会社の自社ホームページ」が堂々とランクインしており、特に売買検討者においては**30%がこれを「最も信頼できる情報源」として選んでいる。賃貸検討者でも13.3%**という数値を記録しており、自社HPの存在感は決して小さくない。
つまり、顧客は大手ポータルサイトで広く物件を探しながらも、最終的な信頼判断は「その不動産会社の自社HP」を見て行っているケースが少なくないのだ。
ポータルサイト以外で最も利用されているのも「自社HP」
さらに興味深いデータがある。「住まい探しの際に不動産情報サイト以外に利用しているもの」を尋ねた設問では、賃貸・売買を問わず**「不動産会社の自社ホームページ」がトップ**という結果が出ている。
賃貸検討者の32.3%、売買検討者の**43.3%**が、ポータルサイト以外の情報源として不動産会社の公式HPを活用している。この数字は、口コミサイトやSNSを上回っている。
ここから読み取れるのは明確だ。顧客は「ポータルサイトで発見」→「自社HPで確認・信頼醸成」という二段階の情報収集プロセスを踏んでいる。この顧客行動を理解せずに、ポータルサイトだけ、あるいは自社HPだけに注力するのは、機会損失につながりかねない。
なぜ「併用戦略」が売上を左右するのか──3つの構造的理由
理由①:顧客の比較行動が「過去最多」レベルに
同調査では、物件契約までに問い合わせた不動産会社数も明らかになっている。賃貸では平均3.3社(2015年以降で最多)、売買では平均3.8社という結果だ。
特に賃貸では「5社以上に問い合わせた」割合が**21.0%**に達しており、顧客は複数の会社を徹底的に比較している。この「比較される時代」において、自社HPがないか、あっても情報が乏しい会社は、比較対象から早々に外されるリスクがある。
理由②:検討期間の長期化で「継続的な情報発信」が必須に
調査では、契約までの検討期間が長期化傾向にあることも示されている。賃貸では「1ヶ月以上」検討する割合が前年比で増加し、売買では「3ヶ月以上」検討する割合が**40.3%**に達した。
検討期間が長くなるということは、顧客は何度も情報を見直し、比較し直すということだ。このとき、自社HPで継続的に更新される物件情報や地域情報、会社の取り組みを発信できれば、顧客の記憶に残り続ける。ポータルサイトだけでは、他社の情報に埋もれてしまいやすい。
理由③:SNS経由の流入増加で「受け皿」が重要に
調査によると、住まい探しでSNSを活用する層も着実に増えている。SNS利用者のうち、YouTubeが45.0%、Instagramが**43.4%**という高い割合を占めている。
SNSで物件動画や地域紹介を見た顧客が、次にどこへアクセスするか。その「受け皿」として自社HPが機能していれば、コンバージョンへの導線が確保できる。逆に、SNSからの流入先が大手ポータルサイトだけだと、そこで他社物件に目移りされるリスクもある。
自社HP×ポータルサイト併用の「7つの実践戦略」
ここからは、具体的な併用戦略を7つのステップで解説する。
戦略①:ポータルサイトでは「発見」、自社HPでは「深掘り」の役割分担
まず意識すべきは、両者の役割を明確に分けることだ。
大手ポータルサイトの役割:
- 広域からの集客・物件発見のきっかけ作り
- SEO的な露出の確保
- 物件の基本情報(間取り・家賃・立地)の訴求
自社HPの役割:
- 会社の信頼性・専門性のアピール
- ポータルサイトでは伝えきれない物件の魅力(周辺環境、生活情報)
- スタッフ紹介や実績による「この会社に任せたい」という動機づけ
- 問い合わせへの直接誘導
この役割分担を意識することで、同じ物件でもチャネルごとに訴求ポイントを変え、顧客の情報収集ステージに合わせた最適なアプローチが可能になる。
戦略②:自社HPの「物件情報の鮮度」を死守する
調査では、不動産会社に対する不満として「問い合わせをしたら『その物件はもう無い』と言われた」が上位にランクインしている。
これは自社HPでも同様だ。ポータルサイトでは成約済みでも、自社HPでは掲載が残っている──この状態は信頼を大きく損なう。
実践Tips:
- 物件管理システムとHP更新の連携を自動化する
- 週に1回は全物件の掲載状況を棚卸しする
- 「〇月〇日更新」の表示を物件ページに入れる
戦略③:「写真の点数」で差をつける
調査によると、「不動産会社を選ぶポイント」で**「写真の点数が多い」がトップ**となっており、直近3年で最多という結果だ。
ポータルサイトには掲載枚数の制限があることが多い。ここで自社HPの強みが生きる。自社HPでは枚数制限を気にせず、物件の魅力を余すことなく伝える写真を掲載できる。
実践Tips:
- 1物件あたり最低20枚以上の写真を用意
- 外観、内観だけでなく「最寄り駅からの道のり」「近隣のスーパー・コンビニ」なども撮影
- 動画も積極的に活用(YouTubeと連携すれば運用コストも抑えられる)
戦略④:地域情報コンテンツで「この会社に相談したい」を生む
物件情報以外に顧客が求めている情報として、「治安情報」「街の雰囲気情報」「地域の便利さ(住みやすさ)」が上位に挙がっている。
これらの情報は、ポータルサイトでは十分に提供されていないことが多い。自社HPで地域特化型のコンテンツを充実させれば、「この地域のことはこの会社が一番詳しい」という専門性をアピールできる。
実践Tips:
- エリア別の「住みやすさガイド」を作成
- 「駅周辺の飲食店マップ」「子育て世帯向けの施設紹介」など実用的な情報を発信
- ブログ形式で定期更新し、SEO効果も狙う
戦略⑤:口コミ・レビューの「見せ方」を工夫する
調査では「不動産会社に対する口コミ情報」が、「特に重視するポイント」の第2位にランクインしている。
ポータルサイトの口コミは他社と並列で表示されるため、差別化が難しい。自社HPでは、お客様の声を独自のストーリー形式で紹介することで、より印象に残る訴求ができる。
実践Tips:
- 成約後のお客様にインタビューを依頼(写真付きだとさらに効果的)
- 「困っていたこと」→「当社を選んだ理由」→「結果」のストーリー構成で紹介
- Google口コミへのリンクも併設し、客観性も担保
戦略⑥:レスポンス速度を「見える化」する
調査で「不動産会社の対応で満足だったこと」の第1位は**「問い合わせに対するレスポンスが早かった」**だ。
自社HPでは、この「レスポンスの速さ」をアピールできる。
実践Tips:
- 「お問い合わせから30分以内にご連絡します」などの具体的な約束を掲載
- チャットボットやLINE連携で即時対応の印象を与える
- 「よくある質問」ページを充実させ、顧客が自己解決できる環境も整備
戦略⑦:ポータルサイトから自社HPへの「導線」を設計する
ポータルサイトで物件を見つけた顧客を、いかに自社HPへ誘導するか。ここが併用戦略の要だ。
多くのポータルサイトでは、掲載不動産会社のHP情報を記載できる欄がある。ここに自社HPのURLを必ず記載し、「詳細な地域情報は当社HPで」「他にも多数物件あり」などの誘導文言を入れる。
実践Tips:
- 物件問い合わせへの返信メールに自社HPのリンクを入れる
- メールの署名に「〇〇エリアの物件情報は当社HPをご覧ください」と記載
- チラシや名刺にもQRコードで自社HPへの導線を設置
フランチャイズ加盟という「第三の選択肢」
ここまで述べてきた併用戦略を実行するには、一定のリソースと専門知識が必要だ。自社HPの構築・運用、コンテンツ作成、システム連携──これらをすべて自力で行うのは、特に中小規模の不動産会社にとっては負担が大きい。
そこで注目したいのが、フランチャイズへの加盟という選択肢だ。
例えばハウスコムフランチャイズでは、加盟店に対して以下のような支援を提供している。
ブランド力の活用: 約200店舗の直営店を展開するハウスコムのブランド力を活用できる。関東・東海・近畿の三大都市圏では高い認知度を誇り、顧客からの信頼獲得に直結する。
業務システムの提供: 大手不動産テック企業の基幹システム(コンバータ・顧客管理・契約管理)をロイヤリティに含む形で利用可能。物件情報の一元管理と鮮度維持が効率的に行える。
自社HPへの柔軟性: 自社ホームページに対する規制は特に設けておらず、既存のHPを継続利用することも可能。ロゴやコーポレートカラーのガイドラインに沿えば、独自のHP戦略を維持できる。
本部からの反響送客: 本部が様々な企業と業務提携を行い、反響送客による支援を実施。集客の入り口を複数持つことで、併用戦略の効果がさらに高まる。
「自社HPもポータルサイトも活用したいが、リソースが足りない」という悩みを抱える不動産会社にとって、フランチャイズ加盟は有力な解決策となりうる。
まとめ──「選ばれる会社」になるために
最新の調査データが示しているのは、顧客が複数の情報源を使い分け、徹底的に比較検討しているという事実だ。この「比較される時代」において、大手ポータルサイトだけに依存するのはリスクが高い。
自社公式HPと大手不動産ポータルサイトの併用戦略──これこそが、現代の不動産賃貸仲介業者が取るべきマーケティングの「二刀流」である。
ポータルサイトで広く「発見」してもらい、自社HPで「信頼」を勝ち取る。この二段階のプロセスを設計できれば、問い合わせ件数の増加だけでなく、来店率・成約率の向上も期待できる。
今日からできることは小さな一歩でいい。自社HPの物件情報を最新化する、写真を1枚追加する、地域情報のブログを1本書く──その積み重ねが、「選ばれる不動産会社」への道を切り拓く。
本記事で引用したデータは、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」(2025年調査)に基づいています。


