「築古だから売れない」は思い込み?顧客が本当に重視するポイントと築年数を武器に変える訴求術

入居希望者が「築年数」よりも見ている意外な条件とは——。最新の調査データが示す、築古物件・リノベーション物件で反響を獲得するための戦略的アプローチを徹底解説。


「築30年超の物件は紹介しづらい」「築古は反響が取れない」——賃貸仲介の現場では、こうした声が少なくありません。しかし、本当に築年数は顧客にとって決定的な要素なのでしょうか。

2025年10月に発表された不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)の調査によると、驚くべき事実が浮かび上がりました。賃貸契約者が物件を決める際に「特に重視するポイント」として「建物の新しさ(築年数)」を挙げた割合は、わずか0%。気にするポイントとしても全体の上位10位圏外という結果だったのです。

この数字が示唆するのは明確です。築古物件であっても、正しい訴求ポイントを押さえれば十分に成約に結びつけられる——。本記事では、データに基づいた築古物件の価値向上戦略と、リノベーション物件・ヴィンテージ物件の魅力を最大化する具体的なテクニックを解説します。

Table of Contents

1. データが証明する「築年数神話」の崩壊

1-1. 最新調査が示す衝撃の事実

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」の結果は、業界の常識を覆すものでした。

賃貸契約者に「購入や賃貸借契約する際に気にするポイント」を複数回答で尋ねたところ、上位には以下の項目が並びました。

順位気にするポイント全体
1位家賃・価格74.3%
2位交通の利便性63.9%
3位部屋数、間取り59.7%
4位建物・部屋の広さ53.5%
5位最寄駅の利便性42.4%

注目すべきは「建物の新しさ(築年数)」が上位10位に入っていない点です。さらに「特に重視するポイント」として築年数を挙げた賃貸契約者は**0%**という結果でした。

1-2. なぜ築年数は重視されなくなったのか

この背景には、住宅市場を取り巻く環境変化があります。

新築物件の価格高騰
2025年、新築マンションの平均価格は高騰を続けています。首都圏中古マンションの成約件数は2025年1~3月に前年比25.5%増と大幅に伸びており、割安な中古物件への需要シフトが顕著です。

リノベーション市場の成熟
中古物件を購入した人の約8割がリノベーションを実施しているというデータもあり、築年数よりも「リノベーションによる快適性」を重視する傾向が強まっています。

価値観の多様化
かつての「新しい=良い」という単純な図式から、「自分らしさ」「コストパフォーマンス」「サステナビリティ」など、多様な価値軸で住まいを選ぶ層が増加しています。


2. 顧客が本当に重視する5つの条件

築年数に代わって顧客が重視している条件を理解することで、築古物件の訴求ポイントが見えてきます。

2-1. 家賃・価格(全体の74.3%が重視)

賃貸・売買を問わず、最も重視されるのは価格です。築古物件は新築・築浅物件と比較して家賃設定が抑えられるケースが多く、これは大きなアドバンテージになります。

訴求のポイント

  • 「同エリアの築浅物件と比較して○万円お得」という具体的な比較提示
  • 浮いた家賃で実現できるライフスタイル(趣味、貯蓄、旅行など)の提案
  • トータルコスト(初期費用+月額費用)での優位性の可視化

2-2. 交通の利便性(全体の63.9%が重視)

築古物件には立地面で優位な物件が数多く存在します。なぜなら、古い物件ほど駅近の好立地に建てられていた時代に供給されているからです。

訴求のポイント

  • 駅からの実際の所要時間(徒歩だけでなく、信号待ちや坂道の有無も考慮)
  • 複数路線利用可能な場合のアクセス性
  • 周辺施設(スーパー、コンビニ、病院など)への利便性

2-3. 建物のコンディション・管理状況(賃貸で20.1%が重視)

RSC調査では、賃貸契約者の20.1%が「建物のコンディション・管理状況」を気にすると回答しています。築年数よりも「今、どのような状態か」が重視されているのです。

訴求のポイント

  • 直近の大規模修繕履歴と次回予定
  • 共用部分の清掃・メンテナンス状況
  • 管理組合の活動実態

2-4. 省エネ性能(売買で重要度上昇中)

2025年のRSC調査では、住まいを選ぶ上での省エネ性能について全体の78.6%が「重要」と回答。環境意識の高まりとともに、この傾向は賃貸市場にも波及しています。

訴求のポイント

  • 窓の断熱性能(二重窓、複層ガラスなど)
  • 設備の省エネ性(エアコン、給湯器の年式・性能)
  • 光熱費の目安

2-5. 災害リスク(特に売買で重視)

調査によれば「災害のリスクが少ない地域である」ことを重視する傾向が高まっています。築古物件であっても、ハザードマップ上でリスクの低いエリアに立地していれば、それは強力な訴求材料となります。

訴求のポイント

  • ハザードマップ情報の積極的な開示
  • 建物の耐震性能(新耐震基準適合の有無、耐震補強の実施状況)
  • 地盤の状況

3. 築古物件を”選ばれる物件”に変える訴求戦略

3-1. 「古さ」を「味わい」に変換する言葉選び

物件紹介時の言葉選びひとつで、顧客の印象は大きく変わります。

避けるべき表現効果的な表現
築30年の物件築30年の風格ある佇まい
古い建物時を経た趣のある建物
昔ながらの間取りゆとりある間取り設計
年季の入った外観経年の味わいを感じる外観

3-2. 「減点方式」から「加点方式」への転換

築古物件の紹介では、「○○がない」「○○が古い」といった減点要素ではなく、その物件ならではの加点要素を前面に出します。

加点要素の例

  • 天井高が現代の物件より高い(2.5m以上など)
  • 収納スペースが充実している
  • 壁厚が厚く、防音性に優れている
  • 共用部分にゆとりがある
  • 眺望・日当たりが良好

3-3. ターゲット層を明確にした訴求

築古物件に適したターゲット層を意識することで、訴求の精度が上がります。

相性の良いターゲット層

  • コスパ重視の単身者・DINKS層
  • 広さを重視するファミリー層
  • レトロ・ヴィンテージ志向の若年層
  • 駅近立地を最優先する共働き世帯

4. リノベーション済み物件——2025年の最新トレンドを押さえる

4-1. 「脱・リノベ感」がキーワード

2025年のリノベーション市場で注目すべきトレンドは「脱・リノベ感」です。

かつてリノベーションといえば、天井の梁を現しにしたインダストリアルテイストが主流でした。しかし現在は、シンプルモダンやナチュラルテイストなど、リノベーションらしさを前面に出さないデザインが好まれています。

2025年に人気のリノベーションスタイル

  • ナチュラルテイスト(無垢材フローリング、白を基調とした壁)
  • シンプルモダン(直線的なデザイン、ミニマルな装飾)
  • 「Quiet Luxury(静かなぜいたく)」の影響を受けた控えめで上質な空間

4-2. リノベ済み物件で訴求すべき3つのポイント

① 水回りの刷新
キッチン、浴室、トイレといった水回りは、リノベーションによる価値向上が最も実感しやすい部分です。特に「洗面化粧台と脱衣所の分離」は2025年のトレンドとして注目されています。

② 断熱・省エネ性能の向上
二重窓の採用や断熱材の追加など、省エネ性能を向上させるリノベーションは、光熱費削減というわかりやすいメリットとともに訴求できます。

③ 間取りの現代化
リビング・ダイニングを広く取り、窓辺に小上がりやヌックを設けるなど、現代のライフスタイルに合った間取りへの変更は大きな魅力となります。

4-3. リノベ済み物件の効果的な紹介方法

Before/Afterの提示
リノベーション前後の写真を並べて見せることで、変化の大きさを視覚的に伝えられます。

投資内容の具体化
「総額○○万円をかけてフルリノベーション」といった具体的な数字は、物件の価値を裏付ける材料になります。

設備グレードの明示
キッチン、浴室などの設備メーカーや型番を明示することで、品質への信頼感を高められます。


5. ヴィンテージ物件の魅力を伝える差別化ポイント

5-1. ヴィンテージ物件とは何か

ヴィンテージ物件(ヴィンテージマンション)とは、築年数が経過しているにもかかわらず、その価値が下がらない、あるいは上昇している物件を指します。明確な定義はありませんが、一般的に以下の条件を満たすものが該当します。

  • 築10年以上(多くは20年~50年以上)
  • 利便性の高い立地
  • 時代を感じさせない高いデザイン性
  • 行き届いた管理体制
  • 周辺相場より高い取引価格を維持

5-2. ヴィンテージ物件の7つの魅力

① 希少な好立地
ヴィンテージ物件の多くは、現在では新規供給が難しい一等地に立地しています。開発が進んだ現代では得られない立地優位性は、大きな価値です。

② 重厚感のあるデザイン
大理石の廊下、木製の重厚なドア、アールヌーボー調のエントランスなど、現代のマンションでは見られないクラシックなデザインが特徴です。

③ ゆとりある設計
バブル期など景気の良い時代に建てられた物件は、天井高、廊下幅、収納など、随所にゆとりのある設計がなされています。

④ 成熟したコミュニティ
長年住み続けている居住者が多いヴィンテージ物件では、良質な住民コミュニティが形成されていることが少なくありません。

⑤ 経年による味わい
タイル張りの外壁や植栽など、時を経ることでむしろ味わいが増す要素は、新築物件には出せない魅力です。

⑥ ブランド価値
有名なヴィンテージマンションは、その名前自体がブランドとなり、ステータスシンボルとしての価値を持っています。

⑦ 資産価値の安定性
適切に管理されたヴィンテージ物件は、築年数が経過しても資産価値が下がりにくい傾向があります。

5-3. ヴィンテージ物件を紹介する際の注意点

ヴィンテージ物件の魅力を伝える一方で、以下の点についても誠実に情報提供することが信頼獲得につながります。

  • 耐震性能(旧耐震基準の場合は、耐震補強の有無を確認)
  • 設備の更新状況
  • 修繕積立金の残高と今後の計画
  • 管理組合の運営状況

6. 物件写真・情報掲載で差をつける実践テクニック

RSC調査によれば、不動産会社を選ぶポイントとして「写真の点数が多い」がトップに挙げられ、直近3年で最多となっています。築古物件であっても、写真の質と量で反響は大きく変わります。

6-1. 築古物件の撮影で意識すべき7つのポイント

① 自然光を最大限に活用する
築古物件は照明が暗めの場合があるため、晴れた日の日中に撮影し、自然光で明るく見せることが重要です。

② 広角レンズを使用する
部屋を広く見せるために広角レンズを使用しますが、歪みが出すぎないよう注意が必要です。

③ 魅力的な設備・ポイントを強調する
レトロな建具、味わいのあるタイル、ゆとりある収納など、築古ならではの魅力を捉えた写真を必ず含めます。

④ 共用部分も丁寧に撮影する
エントランス、廊下、植栽など、管理状態の良さが伝わる共用部分の写真は、安心感の醸成に効果的です。

⑤ 眺望・日当たりを伝える
窓からの景色、日当たりの良さは、写真で伝えやすいポイントです。

⑥ 周辺環境も撮影する
駅からの道のり、近隣のスーパーや公園など、生活利便性を伝える写真も用意します。

⑦ 動画・360度パノラマの活用
静止画だけでなく、動画や360度パノラマを活用することで、物件の雰囲気をより正確に伝えられます。

6-2. 物件情報の記載で差をつけるコツ

具体的な数字を盛り込む

  • 「天井高2.6m」「収納3畳分」「徒歩実測5分」など、具体的な数字は説得力を高めます。

ネガティブ情報も正直に

  • 「築30年ですが、2023年に大規模修繕を実施」のように、懸念点と対策をセットで伝えることで信頼感が生まれます。

ストーリー性を持たせる

  • 「昭和の名建築として知られる○○設計事務所の設計」など、物件の背景にあるストーリーは関心を引きます。

7. 管理状態を”見える化”する訴求手法

7-1. 管理状態が重視される理由

RSC調査では「建物のコンディション・管理状況」が賃貸契約者の気にするポイントとして上位にランクインしています。築古物件において、管理状態の良さは築年数のデメリットを打ち消す重要な要素です。

7-2. 管理状態を伝える具体的な方法

① 修繕履歴の可視化
直近10年の修繕履歴(外壁塗装、防水工事、エレベーター更新など)を一覧にして提示します。

② 管理会社・管理形態の明示
「○○管理会社による24時間管理」「管理人常駐」など、管理体制を具体的に伝えます。

③ 共用部分の清掃状況
「毎日清掃」「週3回の定期清掃」など、清掃頻度を明示します。

④ 長期修繕計画の説明
今後の修繕計画と、それに対する積立金の状況を説明できるよう準備しておきます。

7-3. 内見時に見せるべきポイント

チェックポイント

  • エントランスの清潔さ
  • 郵便受け周りの整頓状況
  • 駐輪場・駐車場の管理状態
  • 廊下・階段の照明と清掃状態
  • 植栽の手入れ状況
  • 掲示板の情報更新頻度

これらが整っている物件は、内見時に積極的に案内することで、管理状態の良さを実感してもらえます。


8. 成約率を高める接客時のトークスクリプト

8-1. 築年数への不安を払拭するトーク例

顧客:「築30年って古くないですか?」

効果的な回答例:

「ご質問ありがとうございます。確かに築30年と聞くと気になりますよね。ただ、この物件は2022年に大規模修繕を完了しており、外壁・防水・給排水管がすべて刷新されています。実は最近の調査では、お部屋探しの際に『築年数』を最重視する方は非常に少なく、むしろ『立地』『価格』『管理状態』を重視される方が多いんです。この物件は駅徒歩3分、同エリアの築浅物件より2万円ほどお得で、管理状態も良好です。実際にご覧いただければ、築30年とは思えない状態だとおわかりいただけると思います」

8-2. リノベーション物件の魅力を伝えるトーク例

顧客:「リノベーション物件って実際どうなんですか?」

効果的な回答例:

「最近、リノベーション物件を選ばれる方が本当に増えています。新築同様の内装でありながら、価格は抑えられるという点で、特にコスパを重視される方に人気です。この物件は総額800万円をかけてフルリノベーションされており、キッチンは○○社製、浴室は○○社製と、設備グレードも高いんです。また、築古のメリットとして、立地が良いことが多いんですね。この物件も駅徒歩4分という好立地です。新築でこの立地・この設備だと、賃料は3万円以上高くなります」

8-3. ヴィンテージ物件の価値を伝えるトーク例

顧客:「築年数が古いのに賃料が高めですね」

効果的な回答例:

「おっしゃる通り、築年数だけを見ると高く感じるかもしれません。ただ、この物件は業界で『ヴィンテージマンション』と呼ばれる、築年数を経ても価値が下がらない希少な物件なんです。ご覧いただくとわかりますが、エントランスの大理石や植栽の手入れ、天井の高さなど、現代のマンションでは得られない豊かさがあります。また、この立地に新しいマンションが建つことはもうほぼありません。実際、長くお住まいになる方が多く、空室が出るとすぐに決まってしまうような人気物件です」


9. まとめ——築古物件は「隠れた優良在庫」である

9-1. 本記事のポイント整理

データが示す事実

  • 顧客が「特に重視する」ポイントとして築年数を挙げた割合は0%
  • 重視されるのは「価格」「立地」「管理状態」「省エネ性能」

築古物件の訴求戦略

  • 「古さ」を「味わい」に変換する言葉選び
  • 減点方式ではなく加点方式で物件の魅力を伝える
  • ターゲット層を明確にした訴求

リノベーション・ヴィンテージ物件の魅力

  • 「脱・リノベ感」がトレンド
  • 好立地、高デザイン、良好な管理がヴィンテージ物件の条件
  • 管理状態の”見える化”が信頼獲得のカギ

9-2. フランチャイズ加盟で得られる築古物件活用のノウハウ

築古物件やリノベーション物件の取り扱いには、独自のノウハウが必要です。物件の魅力を正しく見極め、適切な顧客に届ける力は、一朝一夕では身につきません。

ハウスコムフランチャイズでは、25年以上の実績で培った賃貸仲介のノウハウを加盟店に提供しています。約200店舗の直営店運営で蓄積した知見は、築古物件の訴求方法、効果的な写真撮影、成約につながる接客トークなど、現場で即使える実践的なものばかりです。

また、本部主催のベンチマークセミナーでは、他の不動産会社の成功事例も共有されており、「築古物件で高い成約率を実現している店舗」の具体的な取り組みを学ぶことができます。

9-3. 今日から始められるアクション

明日からできる3つのこと

  1. 物件紹介文の見直し
    自社で取り扱っている築古物件の紹介文を見直し、「築○年」という情報を前面に出すのではなく、その物件ならではの魅力を最初に伝える構成に変更してみましょう。
  2. 写真の追加撮影
    築古物件の共用部分(エントランス、植栽、管理状態がわかる箇所)の写真を追加撮影し、管理の良さが伝わる情報を充実させましょう。
  3. トークスクリプトの準備
    築年数への不安を払拭するトークを準備し、チーム内で共有しましょう。

築古物件は、正しい訴求ができれば「隠れた優良在庫」になります。 顧客が本当に重視しているポイントを理解し、物件の真の価値を伝えることで、成約率は確実に向上します。

本記事が、皆様の日々の営業活動のお役に立てれば幸いです。


本記事は、不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果(2025年10月発表)を参照しています。