不動産会社の口コミサイト評価を上げる5つのステップ|今日から始める信頼獲得の実践戦略

「口コミを見て来ました」――この一言が、あなたの店舗にどれほどの利益をもたらすか、想像できるだろうか。

不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)が2025年に実施した「不動産情報サイト利用者意識アンケート」の最新結果が、業界に衝撃を与えている。不動産会社を選ぶ際に「特に重視するポイント」として、「不動産会社に対する口コミ情報」が第2位にランクインし、しかも前年と比較して増加傾向にあるのだ。一方で、「店舗がアクセスしやすい場所にある」は2年連続で割合が減少。つまり、消費者は「どこにある会社か」よりも「どんな評判の会社か」を重視する時代に完全に移行したと言える。

さらに注目すべきは、賃貸契約者が問合せた不動産会社数が平均3.3社と過去11年間で最多を記録した点だ。比較検討が激化する中、口コミ評価の差が来店・成約を左右する「決定打」となっている現実がある。

本記事では、不動産賃貸仲介業者が口コミサイトでの評価を体系的に高めるための5つのステップを、調査データと具体的な実践方法を交えて解説する。「何となく口コミが大事だとは思っているが、何から手をつければいいかわからない」という方にこそ読んでほしい。


Table of Contents

なぜ今、不動産会社にとって口コミ対策が”最優先事項”なのか

口コミ対策の具体的なステップに入る前に、まず不動産賃貸仲介業界を取り巻く口コミの現状を正確に把握しておきたい。

消費者の行動変化が示す「口コミ依存」の加速

前述のRSCアンケート(2025年)では、物件情報の鮮度や正確性が信頼できると思う情報源として「インターネットの口コミ」が全体の12.0%に上り、賃貸検討者の間では不動産情報サイト、不動産会社の自社ホームページに次ぐ存在感を持っている。住まい探しの際に不動産情報サイト以外に利用しているものとしても、賃貸検討者の25.1%が「インターネットの口コミ」を挙げており、これは自社ホームページに次ぐ高い数値だ。

注目すべきは、SNSの活用も急速に進んでいる点である。信頼できる情報源としてのSNS内訳では、YouTubeがトップ、Instagramが2位と、写真や動画による視覚的な情報への関心が高まっていることがうかがえる。つまり、テキストベースの口コミだけでなく、映像を通じた「体験の共有」までもが不動産会社選びの判断材料になっているのだ。

「放置すれば悪化する」不動産業界特有のメカニズム

不動産業界の口コミには、飲食業や小売業にはない特有の構造的課題がある。

まず、不動産取引は日常的な行為ではない。引っ越しや住み替えは人生でそう何度もあることではなく、「良い対応をしてもらった」という満足感が口コミ投稿に結びつきにくい。一方で、不満やトラブルは強烈な感情を伴うため、書き込みの動機になりやすい。海外の調査では、良い経験を共有する人が87%であるのに対し、悪い経験は95%のユーザーが共有する傾向にあるというデータも報告されている。

加えて、賃貸仲介は「一見客」との取引が中心であり、リピーターが自然に好意的な口コミを蓄積してくれるという飲食店的なモデルが成り立ちにくい。「口コミ対策は何もしなければ評価は下がり続ける」というのは、大げさではなく、構造的な宿命なのである。

Googleマップ閲覧者の8割超が口コミで来店意欲を判断

株式会社カンリーが2025年に公開した「住宅購入時の来店行動に関する動向調査レポート」によれば、Googleマップの店舗ページを閲覧した人のうち80%以上が、口コミの内容によって来店意欲が向上すると回答している。大手不動産ポータルサイトから問合せた後に、Googleマップで不動産会社名を検索して口コミを確認するという行動は、今やスタンダードになりつつある。

口コミがゼロ、あるいは低評価が目立つ状態では、せっかくポータルサイト経由で獲得した反響が来店前にキャンセルされるリスクすらある。口コミ対策は、広告費をかけて得た反響を「取りこぼさない」ための投資でもあるのだ。


ステップ1:現状把握 ── 自社の口コミを”健康診断”する

口コミ戦略の第一歩は、現在の自社の口コミ状況を客観的に把握することだ。感覚的に「まあまあ良いはず」と思い込んでいるケースは意外に多い。

チェックすべき3つのプラットフォーム

不動産賃貸仲介業者が最優先で確認すべき口コミプラットフォームは、以下の3つだ。

Googleビジネスプロフィール(Googleマップ) が最も影響力が大きい。「地域名+不動産」で検索した際に星評価と口コミが直接表示されるため、消費者の目に最も触れやすい。次に、不動産専門の口コミサイト。不動産会社の接客対応に特化した口コミが集まるため、来店を検討している層が参考にする傾向がある。そして、SNS(YouTube・Instagram・X)。近年は個人が不動産会社との体験を動画やストーリーで発信するケースが増えており、拡散力という点で無視できない。

数値化して把握する4つの指標

口コミの「健康状態」を測るために、以下の4つの指標を数値化して記録しておくことを推奨する。

総件数については、BrightLocal(2024年)の調査によれば、消費者の87%が「10件以上の口コミ」を信用の最低ラインとしている。まずは自社の口コミが10件を超えているかを確認したい。平均評価(星の数)は、Uberallの調査では星3.7前後からアクション率(来店・問合せ率)が最も伸びるとされている。4.0以上が理想だが、3.5を下回っている場合は早急な対策が必要だ。直近3か月の投稿頻度も重要で、古い口コミしかない状態は「今は対応が変わっているかもしれない」という不安を生む。定期的に新しい口コミが投稿されている状態が望ましい。最後に返信率。口コミに対するオーナー返信がどの程度行われているかは、来店率との相関が確認されている。返信率が10%の場合のアクション率に対し、32%まで返信率を上げるとアクション率がおよそ2倍に改善するというデータもある。

これらの数値を月に1回、定点観測することで、施策の効果を可視化できる。


ステップ2:接客品質の底上げ ── 口コミの「原材料」を整える

口コミは結局のところ、実際のサービス体験の反映だ。テクニックで星の数を操作しようとしても、サービスの実態が伴わなければ持続しない。RSCアンケートが示す消費者の声は、具体的な改善の方向性を教えてくれる。

満足と不満の分水嶺はどこにあるか

RSCアンケート(2025年)の「不動産会社の対応で満足だったこと」の結果を見ると、賃貸契約者が最も満足したポイントは「問合せに対するレスポンスの早さ」で、67.9%がこれを挙げている。次いで「こちらの都合を配慮してくれた」が49.4%、「言葉遣いや対応が丁寧だった」が39.5%と続く。

一方、不満だったこととしては「問合せをしたら、『その物件はもう無い』と言われた」「契約の意思決定を急かされた」「言葉遣いや対応が気に障った」が上位を占めている。

この結果から見えてくるのは、消費者が不動産会社に求める品質の核心は、スピード、配慮、誠実さの3点に集約されるということだ。

今日から改善できる3つの接客ポイント

反響対応のスピードを数値目標にする。 問合せから初回連絡までの時間を「30分以内」と社内ルール化する。これは不動産会社に求めるものとして「迅速・丁寧対応」がトップ(全体76.4%)であることからも、最優先で取り組むべき項目だ。メールやチャットの問合せに対し、自動返信でまず受領確認を送り、その後30分以内に担当者から具体的な連絡を入れる仕組みを作りたい。

「物件がない」場合の代替提案力を磨く。 賃貸の不満で上位に入る「その物件はもう無いと言われた」は、物件の鮮度管理の問題であると同時に、代替提案ができていないことへの失望でもある。「お問合せいただいた物件は成約済みですが、同じ条件で以下の3件をご紹介できます」と即座に提案できる体制が、口コミの分かれ目になる。

契約を急かさない姿勢を徹底する。 「契約の意思決定をこちらのペースに合わせてくれた」は満足項目として一定の支持があり、逆に「急かされた」という体験は強い不満として記憶に残る。スケジュール感は提示しつつも、「ご納得いただけるまでじっくりお考えください」という姿勢を言葉と態度の両面で示すことが大切だ。


ステップ3:口コミ依頼の仕組み化 ── 「待ち」から「攻め」へ転換する

接客品質を高めたら、次はその良い体験を口コミとして「可視化」する仕組みを作る段階だ。

ベストタイミングは「契約完了直後」

顧客が最もポジティブな感情を持っているのは、物件が決まり契約を完了した瞬間だ。このタイミングを逃さず、口コミ投稿のお願いをすることが鉄則である。

具体的な運用としては、契約手続き完了後の最終確認時に「よろしければ、今回のお部屋探しのご感想をGoogle口コミにご投稿いただけますと、今後のサービス改善の参考になり大変ありがたいです」と一声かける。この際、QRコード付きの案内カードを手渡すと、投稿のハードルが大幅に下がる。

鍵渡しの際にも再度お声がけするのが効果的だ。実際に新しい部屋の鍵を手にした瞬間は、期待と喜びが最高潮に達しているため、口コミの内容もポジティブになりやすい。

絶対に守るべきガイドライン

ここで強調しておきたいのが、口コミ収集における倫理的なルールだ。Googleビジネスプロフィールのガイドラインでは、インセンティブ(金銭や割引)と引き換えの口コミ投稿は明確に禁止されている。「口コミを書いてくれたらギフトカードを差し上げます」といった施策は、ガイドライン違反としてペナルティを受けるリスクがある。

許可されているのは、「投稿をお願いすること」と「投稿しやすい環境を整えること」だ。QRコードの提示、投稿ページへのリンクの案内は問題ない。あくまで「率直な感想をお聞かせください」というスタンスを崩さないことが重要だ。

ダミーアカウントでの自作自演も絶対に避けるべきだ。不自然な投稿パターンはGoogleのアルゴリズムに検知されるリスクがあるだけでなく、発覚した場合の信頼毀損は計り知れない。正攻法でコツコツと積み上げることが、長期的に最も効率の良い戦略である。

月間目標を設定して管理する

口コミ依頼を属人的な取り組みに終わらせないために、月間の口コミ獲得目標を設定することを推奨する。たとえば、月間の契約件数が20件であれば、そのうち30%にあたる6件の口コミ獲得を目標に設定する。担当者ごとの口コミ獲得数をチーム内で共有し、成功事例を横展開する文化を作ることで、組織全体の口コミ意識が高まる。


ステップ4:口コミ返信の戦略化 ── すべての口コミを「資産」に変える

寄せられた口コミに対する返信は、単なるマナーではなく、見込み客へのメッセージでもある。口コミの返信を読んでいるのは、投稿者本人よりもむしろ、これから来店を検討している潜在顧客であるということを常に意識したい。

高評価口コミへの返信 ── 感謝+αで差をつける

「丁寧に対応していただきました。ありがとうございました」といった好意的な口コミには、多くの事業者が「ありがとうございます」と返すだけで終わらせてしまいがちだ。しかし、ここにもう一歩踏み込むことで、口コミが集客装置として機能し始める。

効果的な返信の要素は3つある。まず感謝、次に具体的なエピソードへの言及(「ご希望の駅近物件をお気に召していただけたとのこと、担当の○○も大変喜んでおります」)、そして今後の接点の提示(「お住まいのことで何かございましたら、いつでもご連絡ください」)。

この返信を見た別の見込み客は、「この会社は一人ひとりの顧客を大切にしているんだな」と感じる。それが来店の後押しになるのだ。

低評価口コミへの返信 ── ピンチを最大のチャンスに

低評価の口コミは、最も対応に困るものだが、同時に最も大きな効果を生む可能性を秘めている。返信次第で、その口コミを見た他の人の印象が180度変わることがあるからだ。

低評価への返信で心がけるべきポイントは以下の通りだ。24時間以内に返信することで迅速な対応姿勢を示す。まず謝意を示す。「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と、相手の感情を受け止める一言から始める。具体的な改善策に言及する。「いただいたご指摘を受け、社内で改善ミーティングを実施いたしました」など、行動に移したことを示す。オフラインでの解決を提案する。「詳細をお伺いしたく、お手数ですが直接ご連絡いただけますと幸いです」と、建設的な対話の窓口を開く。

感情的な反論や言い訳は厳禁だ。たとえ事実関係に相違があったとしても、公開の場では冷静かつ誠実な対応を貫くことが、結果的に自社の信頼性を高める。

返信テンプレートの整備と運用

返信の質を安定させるために、パターン別のテンプレートを用意しておくことを推奨する。ただし、テンプレートをそのままコピー&ペーストするのではなく、各口コミの内容に合わせてカスタマイズすることが大前提だ。同じ文面の返信が並んでいると、「機械的に処理しているだけ」という印象を与えてしまう。

テンプレートはあくまで「骨格」として活用し、肉付けは個別対応で行う。この運用ルールをチーム全体で共有しておくことが重要だ。


ステップ5:データ分析と改善サイクル ── 口コミを経営の羅針盤にする

口コミ対策の最終ステップは、収集した口コミデータを分析し、サービス改善と集客戦略に反映させる継続的なサイクルを回すことだ。

口コミから読み取る「顧客の本音」

口コミには、顧客満足度調査では聞き出しにくい本音が書かれていることが多い。たとえば「物件の写真と実際の印象が違った」という口コミが複数あれば、掲載写真の撮影方法を見直す必要がある。RSCアンケートでも「写真の点数が多い」が不動産会社を選ぶポイント・特に重視するポイントの両方でトップに立っており、写真の量と質は集客に直結する要素だ。

「担当者によって対応の差がある」という声が目立つなら、接客マニュアルの整備や研修の実施を検討すべきだろう。口コミは、現場では見えにくい課題を可視化してくれる貴重なフィードバックチャネルなのである。

月次レビューの実施方法

月に1回、以下の項目をチーム内でレビューする時間を設けることを推奨する。

今月の新規口コミ件数と内容の傾向を確認し、平均評価の推移をチェックする。低評価口コミがあった場合はその原因を分析し、口コミで言及された「良かった点」をスタッフ間で共有して成功パターンを横展開する。そして、分析結果に基づく来月のアクションプランを策定する。

このサイクルを3か月続けるだけでも、口コミの傾向と自社の強み・弱みが明確に見えてくるはずだ。

口コミデータを他のマーケティング施策に活用する

口コミで繰り返し評価されている自社の強みは、他の集客チャネルでも積極的にアピールすべきだ。「レスポンスが早い」という口コミが多ければ、自社ホームページやポータルサイトの紹介文に「お問合せから30分以内にご連絡」と明記する。「初めての一人暮らしにも親身に対応してくれた」という声があれば、初めての部屋探し層に向けたコンテンツを強化する。

口コミは、顧客が自社のどこに価値を感じているかを教えてくれるマーケティングデータでもある。これを活用しない手はない。


口コミ対策でやってはいけない3つのNG行動

最後に、口コミ対策において絶対に避けるべき行動を改めて整理しておく。

1つ目は、口コミの「買い取り」や自作自演。 Googleをはじめとするプラットフォームのガイドラインに明確に違反する行為であり、発覚した場合のリスクは極めて大きい。アカウント停止や検索順位の大幅低下につながる可能性があるだけでなく、報道やSNSで拡散されれば企業の信頼を根本から損なう。

2つ目は、ネガティブな口コミの放置。 不満の声に対して何のアクションも取らないことは、「この会社は顧客の声を聞かない」というメッセージを発信しているのと同じだ。返信がない口コミ欄を見た見込み客は、自分が何か問題に遭遇した際にも対応してもらえないのではないかと不安を感じる。

3つ目は、感情的な反論。 低評価口コミに対して「事実と異なります」「お客様の誤解です」といった強い反論を書くことは、たとえそれが事実であっても逆効果だ。口コミを見ている第三者にとっては、「顧客と争う会社」という印象しか残らない。


まとめ:口コミは「コスト」ではなく「最大の資産」である

不動産賃貸仲介業界において、口コミはもはや「できればやった方がいい」レベルの施策ではない。RSCの調査が示す通り、消費者は店舗の立地よりも口コミを重視して不動産会社を選ぶ時代に突入している。問合せ社数が過去最多を更新し、比較検討がかつてないほど厳しくなる中、口コミ評価の差が成約率を直接左右する。

本記事で紹介した5つのステップ――現状把握、接客品質の向上、口コミ依頼の仕組み化、返信の戦略化、データ分析と改善サイクル――は、いずれも特別な予算や専門知識がなくても、今日から着手できるものばかりだ。

口コミ対策は、広告のように「打てば即座に反響が出る」性質のものではない。しかし、一つひとつの誠実な対応が口コミとして蓄積され、やがてそれが自社の「信頼資産」として機能し始めたとき、広告では決して手に入らない持続的な集客力を手にすることができる。

まずは今日、自社のGoogleビジネスプロフィールを開くことから始めてみてほしい。そこに書かれている言葉の中に、あなたの会社がこれから進むべき方向のヒントが必ずある。